世界の大手自動車メーカー各社は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿った二酸化炭素(CO2)排出量削減を基本理念に据えるべきだ、という主張に異論は持っていない。

 しかし、各社が掲げる削減目標は、協定で必要とされる規模になお遠く及ばないのが実態だ。もっともその責任は、メーカーだけにあるとは言い切れない面もある。

 自動車メーカーは何が何でも排出実質ゼロ化を計画すべきだ、との意見もある。だが、メーカー側は、電気自動車(EV)に移行できるかどうかは、自社が直接関与できない条件に左右されると訴えている。

 ボストン・コンサルティングが先に公表したリポートの中で、気候変動目標の達成には2030年までに新車におけるEVの比率を少なくとも乗用車で90%、トラックで70%に高める必要があると指摘。グリーンピースなど環境保護団体も同じ見解だ。

 
世界の大手自動車メーカー各社は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿ったCO2排出量削減を基本理念に据えるべきだ、という主張に異論は持っていない。しかし、各社が掲げる削減目標は、協定で必要とされる規模になお遠く及ばないのが実態だ。写真はジャカルタで2012年1月撮影(写真=2021年 ロイター/Beawiharta)
世界の大手自動車メーカー各社は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に沿ったCO2排出量削減を基本理念に据えるべきだ、という主張に異論は持っていない。しかし、各社が掲げる削減目標は、協定で必要とされる規模になお遠く及ばないのが実態だ。写真はジャカルタで2012年1月撮影(写真=2021年 ロイター/Beawiharta)

 ところが、主要ブランドのうち、これまでに100%EV化の目標を掲げたのは吉利汽車傘下のボルボ、フォルクスワーゲン(VW)傘下のベントレーなど、ごく一部に過ぎない。ほとんどのブランドは、EV移行の過程で利益が維持できる市場環境が整わなければ、十分な説明責任を負うことはできないとの立場だ。

 例えば、ドイツの高級車メーカー、ダイムラーは「市場の状況が許す場合には、全てをEV化できる状況になるだろう」と強調し、2030年の完全EV化の明言を避けている。

 ケレニウス最高経営責任者(CEO)はロイターのインタビューで「30年までに100%を達成するのは現実的かと言えば、無理だろう」と述べた。

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