欧州連合(EU)諸国は今、目の飛び出るほどの高値でも天然ガスを購入しつつ、域内のエネルギー消費抑制を急ぎ、この冬のエネルギー不足を回避しようとしている。ただ最新の中期予報によると、この先寒波が襲来して一時的にエネルギー需要が高まる恐れが出てきた。

EU諸国は今、高値でも天然ガスを購入しつつ、エネルギー消費を抑制し、冬のエネルギー不足を回避しようとしている。ただ、この先寒波により一時的にエネルギー需要が高まる恐れが出てきた。写真はポーランド北部デンボグジェにある地下ガス貯蔵施設。4月30日撮影(2022年 ロイター/Kacper Pempel)
EU諸国は今、高値でも天然ガスを購入しつつ、エネルギー消費を抑制し、冬のエネルギー不足を回避しようとしている。ただ、この先寒波により一時的にエネルギー需要が高まる恐れが出てきた。写真はポーランド北部デンボグジェにある地下ガス貯蔵施設。4月30日撮影(2022年 ロイター/Kacper Pempel)

 ウクライナで戦争が始まって以降、ロシア産ガスの欧州向け供給が減少を続け、欧州では電力やガスの価格が跳ね上がった結果、物価全般が高騰。産業界は活動を阻害され、消費者も北半球の冬を迎える前から既に過去最悪の金銭的な負担を強いられている。

 欧州のガス貯蔵率は高水準に達し、域内には液化天然ガス(LNG)が着実に輸入されているが、それでも電力不足や停電、供給割り当て制度導入などのリスクは払拭できない。

 こうした中で欧州中期気象予報センター(ECMWF)が13日に発表したこの冬の最新予報によると、12月に寒波が欧州にやってくる可能性がある。そうなれば域内でエネルギー需給がひっ迫しかねない。

 ECMWF傘下のコペルニクス気候変動サービスのディレクター、カルロ・ボンテンポ氏は「寒波到来の非常に大きなリスクが存在し続けている。どちらかと言えば、平年よりリスクはやや高い」とロイターに語った。

 欧州西部の天候は今後数週間は穏やかなもよう。しかしECMWFのモデルからは、12月になると高気圧が欧州で発達し、シベリアや中央アジアから寒気を呼び込んで気温低下につながる確率が、平年より高まっていることが分かる。

 ボンテンポ氏は「気温が下がれば、暖房用のエネルギー需要は増大してもおかしくない」と述べた。

 中期予報では、ある事態が起きると確実に見込むことや、高気圧の張り出し期間が1週間かもっと長くなるのかを測定するのは不可能だ。とはいえ、家庭の暖房用に一体どれだけのガスが必要になるか探ろうとする企業や政府にとって、先行的な判断要素の1つにはなる。

 実際9月終盤の一時的に寒くなった週には、ドイツの家庭と中小企業のガス消費は過去4年の同期間平均を14.5%も上回った。

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