やったぞ、インフレが戻ってきた。手放しでは喜べないとしても、ほっとして良いのではないか─。主要中央銀行の心中はこんなところだ。景気は順調に回復し、物価は緩やかに上昇するが暴走はしないという「スイートスポット」に当たったと期待しているのだ。

 中銀は近年この目標に至るため、莫大な財政政策を背景に、前例のない金融政策を打ち出してきた。実際、目標に届かなければ、現代の中央銀行史における最大の実験は失敗だったことになる。

 1990年代以降、物価上昇を試みては失敗してきた日本だけが、いまだに物価低迷の中にある。

やったぞ、インフレが戻ってきた。手放しでは喜べないとしても、ほっとして良いのではないか。写真はトルコ・アンカラの両替所で9月撮影(2021年 ロイター/Cagla Gurdogan)
やったぞ、インフレが戻ってきた。手放しでは喜べないとしても、ほっとして良いのではないか。写真はトルコ・アンカラの両替所で9月撮影(2021年 ロイター/Cagla Gurdogan)

 他の主要国は物価圧力が高まり、これまで手の届かなかった超緩和的金融政策の解除が視野に入った。世界金融危機の際、表舞台に引っ張り出された中銀は、ようやく身を引くことができるかもしれない。

 もちろん、今のインフレにリスクがないわけではない。しかし1970年代のスタグフレーション(高インフレ・高失業・低成長)の再来は杞憂に終わりそうだ。

 一見すると、足元のインフレは確かに問題があるように思える。物価上昇率は米国で5%を超え、ユーロ圏で間もなく4%に達しそうだ。いずれも政策目標を大幅に上回り、この10年以上なかった水準だ。

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