中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州に相次ぎ参入しつつある。伝統的な自動車大手の動きの鈍さを突き、脱炭素化の取り組みを追い風に急成長する欧州のEV市場に一定の地歩を得る狙いだ。

 こうした中国勢の1社、上海蔚来汽車(NIO)は9月30日、ノルウェーの首都オスロで電動スポーツタイプ多目的車(SUV)「ES8」の発売を開始した。時価総額が約570億ドルに達しながら欧州では実質的に無名の同社にとって、初めての中国国外進出となった。

 ほかにも、多くの欧州市民にとってなじみが薄い中国のEVメーカーが既に販売に乗り出したか、販売を計画中。愛馳汽車(Aiways)や、比亜迪傘下の唐(Tang)、上海汽車集団傘下の名爵(MG)、東風汽車傘下の嵐図汽車(VOYAH)、長城汽車<601633.SS傘下の欧拉(ORA)などだ。

中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州に相次ぎ参入しつつある。写真は自社が欧州で販売を進めるEV車を示す愛馳汽車の海外事業責任者アレクサンダー・クローゼ氏。独ミュンヘンで6日撮影(写真=2021年 ロイター/Nick Carey)
中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州に相次ぎ参入しつつある。写真は自社が欧州で販売を進めるEV車を示す愛馳汽車の海外事業責任者アレクサンダー・クローゼ氏。独ミュンヘンで6日撮影(写真=2021年 ロイター/Nick Carey)

 ただ競争が激しく、有名ブランドが市場を牛耳る欧州で、中国メーカーは過去に苦い経験を味わった。幾つかの戦略的な失敗があったし、長年にわたって安価な大量生産品を輸出してきた中国の製品は品質面で勝負にならないという見方との格闘も強いられた。

 実際、上海蔚来汽車創業者のウィリアム・リー(李斌)最高経営責任者(CEO)はロイターに、「非常に成功するのが困難な」成熟市場において成功を収めるまでには長い道のりをたどるだろうとの見通しを示した。

 リー氏は、欧州で「強固な基盤を確保する」には最大10年が必要かもしれないと発言。小鵬汽車(シャオペン)の何小鵬CEOもこれに同意し、欧州で「十分な足場を築く」ために10年かかるとロイターに語った。

 それでもこうした新規参入組は、魅力的なこの欧州市場にいずれ食い込むチャンスが巡ってくると信じている。

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