松浦:予備日とかは……。
八谷:テスト飛行のチャンスはこの日1日だけでした。なにしろ翌18日からは、ショー参加者のフライ・インが始まってがんがん自家用機が飛んでくるんです。とてもテスト飛行のために15分も滑走路を独占することなんてできません。
八谷:この日に飛べなければ地上展示だけということになります。これはもう駄目かもとも思ったんですが、1時間前になって雨が上がり、フライトするかどうかの打ち合わせになりました。
松浦:おお!
八谷:直前まで暴風雨だったので、目の前の通路には大量の水がたまって排水口に渦を巻いて流れ込んでいるような状況で、滑走路も駄目なんじゃないかなどと考えつつ、「とにかく状態を見て飛行の可否を決めます」と宣言して機体を引き出したら、滑走路は見事に乾いていたんですね。かなり水はけが良いように設計・施工されているんだと思います。
とにかくこれで「行けるぞ!」ということになって、飛びました。本番では、離陸後に360度の旋回飛行を行い、それからローパス(観客の前を低い高度で通過すること)をして、着陸するという飛行プランを立てていて、このテストでもその通り飛びました。
EAAのスタッフの人達が、お手並み拝見と大勢見に来ていたんですが、実はその中に、まだ本番で飛ぶかどうかも分からないのにカメラマンも来ていたんです。エアショーではウェルカム・ムービーを作ってショー開始に合わせてネット公開しているんですけど、あとで見たら「あ、写ってる」と(笑)。ともあれ、テスト飛行の結果、本番でも飛べることになったし、事前の宣伝にもなったし。結果オーライです。
「ホームビルダーズ・ハンガー」の栄誉
八谷:7月22日からいよいよショーが始まりました。M-02Jは、「ホームビルダーズ・ハンガー」という格納庫で展示しました。これは自分にとっては「すごいでしょ、これ」って自慢できるポイントで。というのは、ホームビルダーズ・ハンガーというのは、EAAのルーツに当たる場所なんです。ここで自分の機体を展示できるというのはとても名誉なこととされているんですよ。「なんか日本から変な機体がやって来た」ってことで興味を持ってもらえたからだと思うんですけれど、とてもうれしかったです。
展示は機体と、本当に飛んでいることを見てもらうための動画、それにナウシカっぽいコスチュームを着たマネキンも持って行きました。それと途中からイラストレーターの寺田克也さんが合流したので、会場でM-02Jをテーマにしたイラストをライブドローイングで描いてもらったりもしました。
松浦:なんと豪華な。寺田さんは米国でもファンが多いから、大変だったんじゃないですか。
八谷:寺田さんのファンは西海岸のほうが多いから、会場に来た人はここでたぶん初めて寺田さんを知った人が多いと思うのですが、でも寺田さんの絵があるってのは心強いですよね。あの人、いつでもどこでも絵を描いている人で。出来上がった作品もすごかったのでそれだけで目を引いてました。
松浦:見物客の反応はどうでしたか。
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