日本株のバリュエーションでみれば、岸田文雄自民党新総裁の評価はほぼニュートラルな位置からスタートする。改革期待はやや後退したが、政策の安定性は高まった。菅義偉首相を退陣に追い込んだ新型コロナウイルス対策と景気の両立、医療逼迫の回避、適切な情報発信などの課題を克服し長期政権を築けるか、マーケットは見極めようとしている。

市場が好む安定感

 31年ぶりの高値を付けた日経平均株価だが、高くも安くもない水準に戻っただけだ。日経平均の予想PER(株価収益率)は米金利上昇を嫌気した世界的な株安でやや低下したものの、歴史的な平均レンジ14─16倍内にほぼ入ってきている。

 海外投資家は9月に入り3週間で1兆9604億円買い越した。しかし、今年はそれまでに1兆8279億円売り越しており、需給的にはほぼ中立に戻った程度にすぎない。約7割が先物であり、様子見姿勢を続ける長期投資家も多い。

 
日本株のバリュエーションでみれば、岸田文雄自民党新総裁の評価はほぼニュートラルな位置からスタートする。写真は東京証券取引所で2013年5月撮影(写真:2021年 ロイター/Toru Hanai)
日本株のバリュエーションでみれば、岸田文雄自民党新総裁の評価はほぼニュートラルな位置からスタートする。写真は東京証券取引所で2013年5月撮影(写真:2021年 ロイター/Toru Hanai)

 29日午後2時過ぎに自民党総裁選の第1回投票結果が明らかになると、日経平均は下げ幅を200円ほど拡大したが、終値はほぼ元通り。岸田氏勝利の可能性が嫌気されたというよりも、いったんの材料出尽くし的な利益確定売りが出たとみえる動きだった。

 財政拡張や大胆な改革を株式市場は期待するが、安定性もまたマーケットが好む材料だ。「岸田文雄氏の政策は4候補の中で最もオーソドックスであり、自民党の王道とも言える。良く言えば、安定感があり政策の予測可能性が最も高い」と、シティグループ証券のチーフエコノミスト、村嶋帰一氏は指摘する。

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