香港国家安全維持法(国安法)の導入は抗議者側の様々な手段を潰してしまったが、1年以上の抗議活動で積み重ねられたもの全てが消え去ったわけではない。本記事ではその中でも「黄色経済圏」を支持する民主派の消費選択について取り上げ、それが国安法施行以来どのように機能しているのかを分析する。
新型コロナウイルスの感染拡大は、香港の民主派による抗議活動を困難にした。香港政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由として集合規制を出し、一定の人数以上が公共の場で集まることを禁止している。このような規制があれば警察はその集まりが抗議活動に当たるのかは別として人々が集まっていること自体を違法とみなすことができる。

また、民主派の多くの人々は、国安法は解釈によってはその適用範囲をどこまでも拡大可能であると考えている。結果として、国安法は多くの人々を萎縮させデモから遠ざけ、さらにSNS(交流サイト)上などで抗議の意思を示すことにも抵抗感を抱かせた。
その中で立法会選挙は民主派の意見を示す貴重な機会になるはずだった。しかし香港政府は、もともと9月に実施予定だった立法会選挙について新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年延期を決定した。
このような幅広い抗議活動の違法化と人々の萎縮、さらに立法会選挙の延期は、香港の多くの民主派が体制に対して抗議の意思を示すのを様々な面で困難にしてしまった。
残された方法としての「黄色経済圏」
しかし、1年以上続いてきた抗議活動の中で根付いたもの全てが失われたわけではない。国安法施行以降も「黄色経済圏」を通して抗議の意思を示そうとする人々がいる。本記事では黄色経済圏の発展を振り返り、国安法施行以降どのようにそれが機能しているのかを考察したい。

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