岸田文雄首相が8月24日、原子力発電所の新増設や稼働期間の延長について検討を進める考えを表明した。2011年の東京電力福島原発事故以降、政府が避けてきた「新増設」に言及した形だ。停滞が続いてきた日本の原発政策は転換するだろうか。

原子力規制委員会の安全審査は通過したものの、稼働のめどが立っていない東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(写真=共同通信)
原子力規制委員会の安全審査は通過したものの、稼働のめどが立っていない東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(写真=共同通信)

 8月24日、官邸で開いたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議。岸田首相はここで原発について大きく3つの検討項目を打ち出した。(1) 福島事故後に稼働した10基に加え、7基を追加で再稼働することと、(2)次世代革新炉を新増設すること、そして、(3) 原則40年、最長60年と定められている既存原発の稼働期間の延長だ。

首相表明は「アドバルーンでないか」

 時間軸でみると、追加の7基の再稼働時期は来夏以降としており、足元の電気の安定供給を意識したものといえる。原子力規制委員会の安全審査を通過しているものの、地元の同意などを得られていない原発を念頭に岸田首相は「国が前面に立つ」と話した。東電柏崎刈羽原発6、7号機や日本原子力発電の東海第2原発などがこれに当てはまる。

 一方、新増設は「早くても2030年代」(大手電力社員)との見方が現実的だ。遅ければ40年代にずれ込むことも念頭に、つなぎの策として同時に打ち出されたのが稼働期間の延長だ。

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