世界的に干ばつ被害と水不足が深刻化している。こうした中で投資家が活発に進めているのは、事態解決につながりそうな事業に関係する企業のうち「勝ち組」を選び取ろうとする作業だ。同時に、水資源を浪費する企業にはより厳しい目を向けつつある。

ケニアから米カリフォルニア州、欧州の半分近くの地域まで、新鮮な水が足りないという問題は新たに多くの住民を窮地に陥れ、政策担当者は重大な関心を寄せている。
そこである投資家グループは今月16日、企業により有効な水資源の利用を促すための圧力を強化し、この取り組みが鈍い企業の取締役には不信任投票をする可能性があると表明した。同グループの合計運用資産は10兆ドル(約1370兆円)近くに上る。
何のために投資家がこのような行動に出るのかは、誰の目にもはっきりしている。企業活動が環境に及ぼす影響についての情報開示システムを運営する非営利団体CDPとプラネット・トラッカーが5月に公表した分析結果に基づくと、上場企業は今後、水に絡むリスクで少なくとも2250億ドルもの損失を被りかねないのだ。
CDPの企業・サプライチェーン担当グローバル・ディレクター、デクスター・ガルビン氏は「これらのリスクはもはや遠い世界の出来事ではなく、足元で起きている現実だ」と警鐘を鳴らした。
例えば先週、トヨタ自動車は干ばつが原因の電力不足を理由に、中国・四川省の工場で操業を停止した。また国連によると、現在23億人が切迫した水不足にある諸国に暮らしている。
一方、資産運用業界では水にかかわる事業を手掛ける企業に投資する「水関連株ファンド」も相次いで立ち上げられた。背景には世界の実情を踏まえた投資家の危機意識と、解決策を求める動きがある。
ロイターとモーニングスター・ダイレクトが共有するデータを見ると、過去5年間でこの種のファンドが23本設立され、7月末時点の運用資産総額は80億ドルに達している。
バータス・ダフ・アンド・フェルプス・ウォーター・ファンド(資産8億1200万ドル)のポートフォリオマネジャー、デービッド・グラハムス・ジュニア氏は、水資源危機が悪化するとともに、同ファンドには「波及効果」が出てきていると述べた。「ライン川を船舶が航行できないため、ドイツ国民が物資を十分に得られなくなると報道されれば、投資家は間違いなく水問題と当ファンドに思いを巡らせる」という。
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