核兵器使用のリスク

 元駐ロシア英国大使のトニー・ブレントン氏は、ウクライナが何らかの突破口を開けない限り、西側諸国は「ある時点で」ウクライナに「不愉快な妥協を飲ませる必要が出てくる」かもしれないと指摘する。そしてロシアは屈辱的な敗北に直面した場合、紛争をエスカレートさせる恐れがあると警告する。

 「ロシアにとっての選択肢が、負け戦を続けて大敗し、プーチン氏が倒れる、もしくはデモンストレーション的に核兵器を使用する、という二者になった場合、核兵器のデモンストレーション的使用を選ばないとは限らない」とブレントン氏は話す。

 ロシアは、戦術核を使用する必要があるという考えを繰り返し否定してきた。

 「ロシアのウクライナ戦争への道」の著者であるサミール・ピュリ氏は、ウクライナは戦争の力学を変えられない限り、自国領土の最大4分の1がロシアの支配下に置かれ、事実上の分割統治を強いられる恐れがあると言う。

 「ロシアは腰を据えて領土獲得を狙い続けることができそうだ。残念ながら、中期的に最も可能性の高い結末は分割統治だ」とピュリ氏は語る。

 もっと楽観的な意見もある。

 元駐欧州陸軍司令官のホッジス氏は、「ロシアの兵站システムは疲弊しており、すぐに良くなることはないだろう」と指摘。「米英を中心とする西側諸国が約束したものを提供し続ければ(中略)ウクライナが年末までにロシアを2月23日の線まで押し戻すことは可能だと楽観視している」と話す。

(Andrew Osborn記者)

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