ロシアはかつて、「冬将軍」の加勢を得てナポレオンとヒトラーを打ち負かした。プーチン大統領は今、欧州がこの冬にエネルギー不足やとその価格高騰に根負けし、ウクライナに停戦を迫るというシナリオに賭けている。しかもロシアの望む条件で。

大統領府の考え方に詳しい2人のロシア筋は、これが同国の想定する唯一の和平への道だと語る。ウクライナは同国全土からロシアが撤退しない限り交渉に応じない姿勢だからだ。
ロシア筋の1人は、「われわれには時間があり、待つことができる。この冬は欧州にとって厳しい季節になるだろう。抗議活動や社会不安が起こる可能性もある。欧州の一部指導者らは、ウクライナを支援し続けるべきかどうか考え直し、交渉に応じる時が来たと思うかもしれない」と語った。
もう1人は、既に欧州の結束にはほころびが見えており、冬の厳しさの中でそれに拍車がかかるというロシア政府の見方を紹介。「戦争が秋冬まで長引けば、本当に厳しくなるだろう。だから(ウクライナ側が)和平を申し出ると期待できる」と述べた。
ロイターはロシア政府にコメントを要請したが、回答を得られていない。
ウクライナと、同国を強力に支援する西側諸国は、降参するつもりはないとしている。複数の米高官は匿名を条件に、ウクライナへの支援が揺らぐ兆しは今のところ皆無だと述べた。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長はウクライナ独立記念日の24日、「EUはこの戦いにおいて当初からあなた方の味方だ。必要とされる限り、味方であり続けるだろう」とツイートした。
ウクライナは、戦場において状況を変えられる可能性があると考えている。
ウクライナのポドリャク大統領顧問はロイターに対し「ロシアとの交渉を可能にするには、前線の現状をウクライナ軍優勢に変える必要がある」と述べた。「ロシア軍が戦術的に大敗を喫することが必要だ」という。
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