「日本一の百貨店」として知られる伊勢丹新宿店が揺れている。売上高、入店客数とも国内百貨店トップの同店で、新型コロナウイルスの感染拡大が続いているからだ。7月中旬から8月中旬にかけて150人以上の感染が確認されている。8月20日時点で、同店のホームページでは毎日のように新規感染者数が公表されており、感染が止まらない。それでも伊勢丹新宿店は全館休業には踏み切らず、一部売り場を除いて営業を継続している。現場でいったい何が起きているのか。2回に分けてお届けする。

 「日本一の伊勢丹新宿店で働くことをこれまで誇りに思っていた。でも今回のコロナ対応は許せない。もうここでは働きたくない」。こう憤るのは伊勢丹新宿店で働くある従業員だ。

 百貨店では直接雇用される社員のほかに、各フロアに売り場を出しているアパレルや食品、雑貨などの様々な出店企業で働く非正規を含む多数の従業員がいる。伊勢丹新宿店全体では約1万1500人が働いており、正社員など自社で雇用するのは約2000名、外部の取引先企業の従業員は約9500名となっている。当然、コロナ感染者の大半は、こうした外部の従業員が占めている。

 しかし伊勢丹新宿店における感染拡大は8月20日時点で止まっておらず、「いつコロナに感染するか分からない」という不安を抱えて出勤せざるを得ない従業員は、伊勢丹側の対応に強い不安を感じているという。

 もちろん伊勢丹新宿店は以前から売り場におけるコロナ対策に取り組んでいる。店舗の入り口には体温を検知するサーモグラフィーを設置。アルコール消毒や店内除菌に加えて、マスクを付けていない顧客の入店を認めないなどしてきた。

新型コロナに感染する従業員が相次いでいる伊勢丹新宿店
新型コロナに感染する従業員が相次いでいる伊勢丹新宿店

 しかし従業員のための対策はどうなのか。8月中旬までの1カ月で従業員のコロナ感染者数は150人を突破しており、伊勢丹新宿店によると、8月16日に6人、17日に6人、18日に4人、19日に6人、20日も3人の新規感染が判明している。

続きを読む 2/4 きらびやかな「表の顔」と顧客に見せない「裏の顔」

この記事はシリーズ「Views」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。