業績不振により「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスが追い込まれている。ここまで追い詰められた背景には経営を巡る4つの問題があった。「ペッパーランチ売却、『いきなり!ステーキ』凋落4つの必然(上)」ではガバナンスと商品の問題を取り上げた。今回は残る2つの問題について見ていく。

問題その3・人材:教育不足でブランド毀損
外食企業が多店舗展開する際のハードルとなるのが人材だ。点在する店舗に日々の事業が任されている外食チェーンでは、店舗のオペレーションやサービスによって業績は大きく変化する。店舗を増やすに当たっては、店舗を運営し、サービスを提供する人材も増やしていかなければならない。
いきなり!ステーキの急拡大によって既存店売上高が落ちたのは、自社競合もあるが、急激な出店増に人材育成が追い付かなかったことも原因だ。その結果、外食企業の根幹でもあるQSC(クオリティー、サービス、クレンリネス)にまで乱れが生じ始めていた。
例えば、ステーキ店にとって重要な肉を焼く技量の低下が客の不満を高めた。オペレーションが不十分な店舗が増えたことで、一瀬社長が言う「安くて高品質」というブランドが毀損し、消費者から見ると割高に感じるようになったとも言えそうだ。
17年5月に顧客からペッパーフードに寄せられたクレームは280件だったが、19年9月には671件となっている。店舗数が増えたためクレームが増えたとも言えるが、19年3月の社内報では「ワイルドステーキ300グラム1000円キャンペーン期間でのクレームが極端に多い。客数が増えた際の店舗の対応力が今後の課題」としており、急拡大が店舗オペレーションにひずみを生んだことは間違いないだろう。
問題その4・財務:皮算用に終わった資金調達計画
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