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空調大手のダイキン工業は3月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて約100個の緊急テーマを決めた。テーマを掛け声だけで終わらせずに徹底的に実行するのがダイキン流の経営。実際に成果も見え始めた。そのマネジメント手法の中心にあるのが「フォローアップ表」と呼ばれるA3サイズの表だった。

大阪市北区のダイキン工業本社(写真:菅野 勝男)

 「この製品でしたら、空調の電源をつけたままでも換気を十分にできますよ」

 こんな売り文句でダイキン工業が9月に発売するのが、後付け可能な換気設備「ベンティエール」だ。新型コロナウイルスの感染防止対策として、店舗やオフィスの「密閉」を避ける換気設備が脚光を浴びる中で製品化にこぎ着けた。従来製品は天井埋め込み型だったため、新築時にしか導入できなかったが、今回、後付けできるように改良した。

 ベンティエールは、排出する空気と吸入する空気との間で熱を交換する「全熱交換器」だ。例えば夏場には、窓を開けたり換気扇を回したりして換気すると、空調が効いた室内の冷たい空気がそのまま外に出てしまう。ベンティエールを使うと、吸入する空気の熱を排出する空気に移すため、室内の温度は変わらずに済む。換気速度は一般的な換気扇の2倍以上だ。

 6月に営業活動を始めたところ、店舗やクリニック、理美容室などから好評を得ているという。国内空調営業の担当者は「今年度の戦略機種として位置付けて、顧客の新たなニーズに応える提案をしていきたい」と意気込む。

 実はこの製品は、ダイキンがコロナ禍を受けて3月に定めた「緊急テーマ」から生まれたものだった(ダイキン社長「今こそ目標を」 緊急100テーマで社内を鼓舞)。