全5340文字

岐路に立つ承継者前提の「墓システム」

 2011年の経済産業省の調査で明らかになったのは永代供養墓、合葬墓、樹木葬(樹林葬)、散骨(自然葬、海洋葬)といった跡継ぎを必要としない墓を選択する人が新規墓購入者の3分の1を占めていることです。これまで当たり前とされた承継者前提の墓システムも根本的に見直される時期にきたように思います。

 確かに今でも7割の人が年間1回以上の墓参を欠かしていません。この事実は重いものがあります。死者を思い、追憶する装置である墓は死者を思う人の存在を前提としています。しかし、単身化が進む中、墓の維持に関わるのが血縁者のみと想定する現行のシステムはいずれ行き詰まることになります。

 また、墓は死者が確かに生きた、という徴(あかし)でもあり、血縁の承継者がいる者だけに許されるものではないでしょう。さらに言えば、地球の共有物である土地が「永久に」墓として私物化されるのも問題でしょう。高度成長期に広がった今の墓のありようをそのまま、引きずることはないのです。死者との共生をグローバルな観点で見直すべき時にきているのではないでしょうか。

質の良い「派遣僧侶」が増えた理由

 全国に仏教寺院は7万カ寺以上あります。これは5万5000を数えるコンビニの店舗数より多いのです。寺が全国に展開し、民衆がスポンサーになってつくられたのは中世末期から近世初期にかけてです。江戸時代になると寺を新たにつくることは制限される一方、寺請制度が生まれました。誰もがどこかの寺に属し、葬式は寺で行い、墓地は寺墓地にという檀家制度が法制化されたのです。

 明治になり檀家制度は法制的根拠はなくなったものの、明治民法が家制度を根幹としたこともあり、生き延びることになります。しかし、さすがに戦後70年以上が経過し、檀家制度は崩れ始め、寺はいま危機的状況にあります。過疎化もあり不活動に陥っている寺が2万以上もあります。経営的に自立している寺は半分以下の3万程度にすぎないのが現状です。

 首都圏は多くの地方出身者で成り立つ特異な地ですが、地方出身者が出身地の寺と関係をもつ例は少なくなっています。檀信徒関係にある人はほぼ半分、残りは寺と日常的に関係をもたない宗教的浮動層を形成しています。宗教的浮動層が寺に葬式を依頼しないのならある意味簡単ではあります。しかし「仏教を特に信仰しているわけではないが、死者にお経をあげないで送るのは罪悪感がある」とする人間が多いことが問題を複雑化しています。

 こうした人たちは従来は葬祭業者に僧侶手配を依頼し、葬祭業者はこれを親近な寺に手配したり、僧侶あっせんプロダクションに依頼したりします。それが近年は「お坊さん便」(運営会社よりそう)等のネット系葬儀あっせん事業者による僧侶手配が加わり、日本仏教会等の仏教団体の反発を買ったことで話題となりました。

「お坊さん便」サイトのトップページ