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「自分で飛行機を作れる社会にしよう、きっと楽しいよ」

編集Y:何というか、マニアという人種は欲しいものを手にしたい、なければ自分で作りたいと考えますよね。手にしたい、乗りたい、見てみたいみたいな情熱という点では、コミケで売る同人誌に向かうか、それとも実物の飛行機に向かうかというところは、日本と米国のマニアの間に、共通の根っこはあるんでしょうか。それとも、深くて暗い川があるのか。

八谷:どうでしょうねえ。米国は小規模印刷業がそんなに発展している印象がないから、同人誌を作るのも「ええっ、何で個人がそんなことをするの?」とか、「何でこんなことを個人ができるの?」という感じなのかもしれないです。それは日本人からすると飛行機を造るとか、飛行機を所有して普通に足として使うのを「何でそんなことができるの?」と感じるのと近いかもしれません。詰まるところ環境の問題ですよね。

編集Y:そうですねえ。

八谷:米国に行くと、自動車で行くと遠くても、飛行機だと20~30分で着いてしまうという経験をします。あれだけ国土が広ければ、それは飛行機が足として普及するよな、と思います。でも逆に言うと米国の人だって、いい印刷会社、安い印刷会社が身近にあれば同人誌を作って売るかもしれません。

松浦:今だったら電子書籍もあるし。実際米国でベストセラーも生まれているし。

八谷:同じ事は日本でも言えて、場所とかを選べば飛行機を造れるし、飛ばせるという環境を作れば、そういうことができる社会になっていくと思うんです。OpenSkyは、「そういう社会を作ろうよ、楽しいから」と誘いかけるプレゼンとしてやっているつもりなんですけれどね。

 自分がこの機体を米国に持って行ってて飛ばすということは、普通に飛行機を造っている社会の人たちが、色々制限のある日本で作った機体にどんな反応を示すかを知りたい、という好奇心もあります。たぶん米国の人にとっては、飛行機はもっと普通に実用品なんだと思うんですよね。

編集Y:それはそうですね。

八谷:燃料満タンで何時間飛べるのか、とか聞かれて、うーん、だいたい5分から10分ぐらいですと言うと(笑)。

編集Y:「何が楽しいんだ」みたいな感じになっちゃったりして?

八谷:確かに、笑われちゃう部分も実際にあるんですけど、でも、その一方で、米国では実験機も公的制度があって、どんどん開発して飛ぶことができるので、「これ、実験機です」といったら、「ああ、なるほど」と意図を分かってもらえるし、実際に面白がってる気もするんですよね。でなければ、すぐにFAAから招待状が来たりはしないし、みんなすごく手伝ってくれることもないと思う。「アニメに出た機体そっくりで飛ばすとか、こいつら、ものすごく日本っぽいぞ」と思われてるのかもしれない。

編集Y:「お前ら、そうくるか」みたいな(笑)。