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ジブリパークにメーヴェと零戦を並べてほしい

松浦:ところで、この“メーヴェ”ことM-02Jですけれど、いっそ宮崎駿監督に買っていただいて、東京は三鷹の森ジブリ美術館に展示するというのはありではないでしょうか。

八谷:あ、それなら、ジブリが愛知県に作ろうとしているジブリパークのほうがいいんじゃないかな。

松浦:ああ、なるほど。

八谷:ジブリ美術館は素晴らしい施設ですけれど、飛行機を置くには狭いですから。どうせならジブリパークにひとつ飛行場を作ってもらって、宮崎監督にはM-02Jだけじゃなくて零戦も買ってもらって、2機とも動態保存で、年に何回か飛ばす、とか。それぞれ『風の谷のナウシカ』と『風立ちぬ』を象徴する展示物ということで。

編集Y:それ、絶対集客力につながると思います。えぐい。

八谷:まあ、これは他人様の財布を当てにした非常に勝手な妄想話で、僕がどうこう言えることじゃないんですけれど。真面目な話をすると、零戦みたいな特殊な機体を動態保存する場合、パイロットをどうやって養成するかがとても難しい問題なんです。

松浦:維持費はどれくらい掛かるんでしょうか。年間何億円オーダーとか?

柳田さん(左)と。

八谷:そこまではいきませんが、それでもおそらく数百~一千万レベルでの整備費が掛かります。2017年に日本で飛んだ零戦は、米国内でパイロットとして働いている柳田一昭さんという方が操縦して、今もチノ空港での保管は柳田さんが担当しています。今回、僕は彼のご厚意で展示させてもらうんですが、柳田さんは、ずっと零戦に乗りたいと思っていたそうで、まず練習のためにT-6テキサンという機体を自分で買って訓練したんです。

松浦:テキサンというと、米映画では零戦の代役で飛ぶ機体ですね。映画『トラ・トラ・トラ!』では、テキサンの零戦が一杯登場していました。練習に使えるということは、零戦と形だけではなくて操縦特性も似ているのかな?

八谷:最初に零戦を飛ばした米国人パイロットが、教官になるので、その人の指定なんだそうです。1人で飛ばしてよいか、最終審査もその人が判断するらしいです。おそらく、操縦特性が似ているのでしょう。とにかくテキサンで練習を重ねたということでした。

 柳田さんの零戦に対する愛着は相当なもので、チノ空港にハンガーを2つ持っている上に、オリジナルの零戦の部品も収集しています。彼のような熱意を持つパイロットがいて長年に渡ってものすごい努力をして、初めて「日本人が操縦する零戦が日本の空を飛ぶ」ことができたんです。チノで柳田さんに会って話して、初めて心からそれを理解しました。

 あ、先程、飛行可能な零戦の維持費がものすごく掛かる、と言いましたが、自分のM-02J の維持費はものすごく安いです。耐空検査がない機体なので、燃料代と駐機代くらいしか掛からないんで。