全7395文字

飛行機を無許可で飛ばせる、って……。

編集Y:仮にも飛行機を、無許可で飛ばしていいんでしょうか?

八谷:動力ありの機体は、水上離着陸用のフロートとかパラシュートとかを除いて約115kg未満なら、無許可でも飛べるんです。あ、約ってのは、向こうはヤード・ポンド法だからです。で、僕のM-02Jは重量が100kgぐらいしかないんですね。別途燃料タンクの容量制限もあるんですけれど、これが5ガロン以下、5ガロンはだいたい19リッターぐらいなんですけど、M-02Jの燃料タンク容量は18リッターぐらいなので、これも超えていないんです。

松浦:あと、速度制限も当然ありますよね。

八谷:毎時55ノット以下、失速速度が毎時24ノット以下という規定があります。毎時55ノットというのはだいたい100km/hですから、これもM-02Jはクリアしています。他にもフライト時間の制約とか、フライトエリアの制約はあります。有視界飛行のみで夜間はダメとか、人口密集地では飛ばしちゃダメ、とか。でも、基本無許可で飛んでもいいんです。

編集Y:へえ~。ちなみに日本ではどうなんですか。

八谷:実は日本にも超軽量動力機の規定はあるのですが、結構レギュレーションが厳しくて。「推力はプロペラで得ること」という一言があって、ジェット動力のM-02Jは超軽量動力機のカテゴリーから外れちゃうんです。そこで、自作機(エクスペリメンタル)のJXナンバーを取得して、自作航空機の実験機として飛ばしています。ものすごく苦労して、色々な許可を取って飛ばしているんですよ。

松浦:ところが米国では無許可で飛ばせちゃう?

八谷:アメリカにもエクスペリメンタルの規定はあるんですが、それより緩いウルトラライト機のカテゴリーに入れば無許可で飛ばせちゃうんです。ちょっとびっくりして「パワーユニットの制約はないの?」って聞いたら、「ないよ」って返事でした。「ジェットエンジンでもいいの?」「ジェットでも電動モーターでもいいよ」というんですね。これで「おお、M-02Jをオシコシに持ってきて飛ばせるぞ」っと、一気に話が具体化しました。

編集Y:それってオシコシという「お祭り期間」のローカルルールじゃ……

八谷:いや、普通のルールですね。FEDERAL AVIATION REGULATION、つまり、米国民間連邦航空規則で通常のルールです。

松浦:向こうの法規が規定するウルトラライト機の定義ですね。

FARのウルトラライト機についてのパンフレット

八谷:そうです。実際米国ではウルトラライト機に該当する機体でも色々革新的な機体が出現しています。松浦さんが記事を書いた Openerの「BlackFly(記事はこちら)」も、ウルトラライト機ですね。そのあたり、米国の法規はかなり自由というか、本質的なところだけに規制を設けているというか、だから非常に自由に飛ばせるんだなと思いました。よし、必ずM-02Jを持って行って飛ばしてやろうと決意したわけですよ。

松浦:個人で参加して自作機を飛ばした日本人は過去にいますかね。

八谷:少なくともオシコシエアショーに日本のオリジナル設計の自作機が行くのは、たぶん初めてなんじゃないかな。