ルー:何十年か前、女性のガラスの天井は極めて大きな問題でした。でも、年月がたつうちに、少しは良くなったでしょう。もちろん男女の格差はまだあるのですが、傾向を見ていると、女性の地位が向上し、女性のリーダーシップはかなり進化していると思います。

 ですから同様に、米国において東アジア系の置かれた状況を、とりわけ私たちの研究を通じてもっと知ってもらうことで、良くなってほしいと思っているのです。

「変革を起こすなら、母国で起こして貢献したい」

中国は人口が多いので、その分、突出した人の数も多くなり、将来的にはポジションを取っていくのではないかと思います。日本の場合、人口も減り、優秀な人たちは日本から流出していってそのまま帰ってこない、あるいは知見を持ち帰ってきてくれないということにならないか心配です。

ルー:日本人をはじめ東アジア系が米国で活躍するには、やはり米国の文化を身につけなければいけませんね。そして自分の文化に納得することが重要だと思います。そして、この文化の中ではこういう規範だから、ここでは自分もこう接するのだといった、柔軟性のある対応をする必要があります。かなり難しいですけれど、チャレンジした後に母国に戻って活躍するのも素晴らしいことですよね。

帰国しても、世界のフィールドを意識して戦うことはできますから、異なる国の認識や文化を理解する努力が必要ですね。ルー先生は大学から米国で教育を受けてこられましたが、このまま米国で活躍されるのですか。

ルー:現在のところは、米国で研究をして、MBA(経営学修士)の学生に教えるのを楽しんでいるのですが、やはり東アジアに戻りたいです。家族もいるし、また自分が努力して社会を変えようと思ったら、アジアにいるほうが活躍できるのではないかと思うのです。アジアのビジネススクールは、欧米のビジネススクールに比べるとまだ教育の質にばらつきがあると思います。

 将来的な話ですが、自分がここで学んだことを、もっと東アジアの教育に生かせたらいいと考えています。日本にも2010年に半年ぐらい早稲田大学の留学生として住んだのですが、いつか戻りたいですね。

恐らく専門職の1人、あるいは研究者の1人としてなら米国に骨を埋めるのもそれほど無理ではないのでしょうが、リーダーとして活躍したいのならやはり母国でのほうが貢献できるということですね。チェンジ・エージェントのような活躍をしたいのなら、母国のほうがずっといいと。

ルー:その通りです。

コロナ禍もあり、世界は分断の傾向を強めています。東アジア系の人間がグローバルな競争環境を経験することの意味は、異国でトップクラスに上り詰めることではなくて、ますます、母国をもっと強くするためのこととなってくるかもしれないです。

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