それは、東アジア出身の人間が米国で米国人のスタイルを身につけ、完全にアングロサクソン系の米国人のような人材になって昇進しても、「名誉米国人」のような感じで東アジア系にとっては全然プラスにならないということですね。自分の文化を大事にしなければ、状況は変わらない。

ルー:そうですね。1つ可能と思われる解決方法としては、米国の組織が、東アジア系にとって天井の存在が大きな障壁になっていることを理解し、東アジアの人がリーダーになれるように育てることです。そうすれば、リーダーのポジションを東アジア出身の人材に任せることができ、ロールモデルができる。その人の背中を見て、「自分でもできるかもしれない、やりがいもありそうだから、もっと主張してみようかな」という、後に続く同胞の自発的な変化につながるかもしれない。

とはいえ、先ほどおっしゃったように、大きな組織の中で、リーダーになるべく日本人が自己主張を強めても、「何だ東アジア系のくせに生意気だ」ということになる可能性はありますし、「ガラスの天井」を破るより難しいかもしれません。

巨大な組織が抱える世界共通の問題

ルー:要するに、男性がつくってきた企業における女性でも、米国企業における東アジア系でもそうですが、巨大な組織の中でマイノリティがリーダーになっていくのは、やはり難しいのだと思います。

グローバルな世界で、起業家精神の素晴らしさや強みは比較的認識が共有されていて、スタートアップや先端技術系の企業は常に話題をさらい、そこでは人種的なデメリットはあまりないようにも見えます。
 一方で、歴史を積み上げてきた大組織で人種・性別にかかわらず能力のある人をきちんと扱うことの難しさは、世界共通ということなのですね。つまり異文化理解が重要なわけですよね。米国のビジネススクールでもその辺のトレーニングを強化していると聞いたことがあります。

ルー:はい。しかし私たちの研究のいくつかはビジネススクールが対象だったのですが、やはり東アジアの人と南アジアの人、欧米(白人)系の人との間にギャップがありました。

「東アジア系のキャリアも大切だ」のようなムーブメントは起きませんか。

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