米電気自動車(EV)・大手テスラのショールームで流線型の新型車「モデル3」を購入したあなたは、地球のために少しでも良いことをしたとの満足感に包まれている。

 だが、実感するのはまだ早い。あと1万3500マイル(2万1725キロ)走行しないと、ガソリンで走るセダンと比べて環境への負荷は小さくならないのだ。

 これは、ロイターが自動車の耐用年数期間中に排出する二酸化炭素(CO2)量を計算するモデルから得られたデータをもとに分析した結果だ。

 その計算モデルはアルゴンヌ・ナショナル・ラボラトリー(シカゴ)が開発し、EV電池に含まれる金属の種類から、自動車に使われるアルミニウムやプラスチックの量に至るまで、数千ものパラメーターが組み込まれている。

 アルゴンヌは米エネルギー省が出資し、シカゴ大が運営している組織。 

 「技術における温室効果ガス・規制対象排出・エネルギー使用(GREET)」と呼ばれるこのモデルは他の手法と併せ、自動車排ガスの米2大監督当局である環境保護局(EPA)とカリフォルニア大気資源局が、政策立案の参考にしている。

6月29日、米電気自動車(EV)・大手テスラのショールームで流線型の新型車「モデル3」を購入したあなたは、地球のために少しでも良いことをしたとの満足感に包まれている。写真は2018年6月、カリフォルニア州カーディフに停車中のテスラ「モデル3」(2021年 ロイター/Mike Blake)
6月29日、米電気自動車(EV)・大手テスラのショールームで流線型の新型車「モデル3」を購入したあなたは、地球のために少しでも良いことをしたとの満足感に包まれている。写真は2018年6月、カリフォルニア州カーディフに停車中のテスラ「モデル3」(2021年 ロイター/Mike Blake)

 アルゴンヌの首席エネルギー・システム・アナリスト、ジャロド・コリー・ケリー氏によると、EVは内燃エンジン車よりも生産過程で多くのCO2を排出する。EV電池に使う鉱物の採掘・処理と、動力電池の生産が主な原因だ。

 しかし、生産過程のCO2排出量の差と、EVの方が内燃エンジン車よりも環境への負荷が小さくなる走行距離、「ブレークイーブン」ポイントの推計は、前提の置き方によって大きく変わる。ケリー氏によると、EV電池のサイズやガソリン車の燃費、EVの充電に使われる電源などの要因も、推計値を左右する。

勝ち組はノルウェー

 ロイターは、アルゴンヌのモデルに一連の変数を組み込んで分析を行った。

 冒頭に紹介したテスラ車「モデル3」の数値は、電源の23%が石炭火力発電である米国で走行した場合の推計だ。電池はカソード(陰極)にニッケル、コバルト、アルミニウムが使われ、54キロワット時(kwh)のものと想定した。

 比較に使ったガソリン車はトヨタ自動車のカローラで、重量2955ポンド、燃費は1ガロン当たり33マイル。モデル3、カローラともに生涯走行距離を17万3151マイルとして計算した。

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