英ブリストル大の歴史家、ロバート・ビッカーズ氏は「(中国共産党には)忘れなければならない歴史が数多くある」と言う。「この100年間を通じ、(党として)意見が一致した歴史記録を作るために多大な努力を捧げてきた。それは祝福できる内容とする必要があった」

習近平国家主席は共産党中央政治局の先頭に立ち、党と人民のために「すべてを犠牲にする」と述べて党員の基本原則を守る誓いを立てた。写真は上海で6月15日撮影(2021年 ロイター/Aly Song)
習近平国家主席は共産党中央政治局の先頭に立ち、党と人民のために「すべてを犠牲にする」と述べて党員の基本原則を守る誓いを立てた。写真は上海で6月15日撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

歴史的虚無主義

 中国共産党は長年、歴史をコントロールしようと模索してきた。習体制の下でその取り組みは一層強化。習氏は、過去の出来事を理由に共産党の主導的な役割や、中国の社会主義の「必然性」に疑問を投げかけようとする「歴史的虚無主義」に反対する運動の陣頭指揮を取ってきた。

 中国社会科学院は、「公式版の歴史」を広げるための特別部門を設置。政府は今年、市民が歴史的虚無主義の事例を当局に通告するためのホットラインを設けた。

 米スタンフォード大フーバー研究所の歴史家、グレン・ティファート氏は、この運動が共産党の不安定さを反映していると話す。中国共産党体制が旧ソ連のように崩壊するのではないか、という習氏の恐怖心にも根差しているという。

 ティファート氏は「習氏は最初からその点を特に心配していたようだ」と指摘。現在行っていることは、党の権威を再構築して旧ソ連共産党の二の舞を避けるための、体系的、統合的アプローチの一環だと話した。

 しかし記念館を見学すると、中国共産党が当初の理念から随分とかけ離れた場所に来たことが分かる。