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東進:対米FTAへ

 郭氏はFoxconnのような台湾系EMS/ODM(電子機器設計製造受託)企業を核とした工業団地を、米国に建設するつもりだ。それら一部はメキシコで大型工場を運営している。この資源を再利用した工業団地を「中華民国主導で(実際は国交がないので民間団体名義で)米国にたくさん造りたい。ノースカロライナ州ローリー(Raleigh)市は狙い目だ。(米IBMを顧客とした経験から)あそこに良いエンジニアが非常に多くいることを私は知っている。電子産業以外も米国進出すべきだ。米国は世界最大の消費者市場、工業用品市場である。だから米国とFTA(自由貿易協定)を結ぶ」(郭台銘氏の動画再生開始点付近の発言を筆者が翻訳)。

 対米FTAの実現可能性を郭氏はこう説明した。現職総統の「蔡氏はどうすれば米国がFTAにサインしてくれるのか分かっていない。私は米国相手に長年ビジネスをしてきた。どの州のどの産業が台湾部材を使えば発展しやすく、貿易赤字をどう縮小できるのか、私は説明できる。コネクションも大切だ。私のコネはトランプ大統領だけではない。マイク・ペンス副大統領とは(インディアナ州にFoxconnの米Hewlett-Packard向け拠点があるので)州知事だったときに知り合っている」(東森新聞の動画再生開始点付近の発言を筆者が翻訳)。

西和:台湾系中国工場を自動化

 郭氏は台湾の対中貿易は巨大かつ重要であり、それが台湾に平和をもたらすと考えている。「台湾の中国に対する輸出額はその輸入額より831.5億米ドル(約9兆円)も多い。だから2018年における台湾全体の輸入超過は30億米ドル(約3200億円)しかない」(郭台銘氏の動画再生開始点付近の発言を筆者が翻訳)。台湾系中国企業は、中国の企業別輸出額ランキングトップ50のうち半分を占めている。この現状を崩さないため、新技術によって製造効率をさらに引き上げようと郭氏は訴えている。新技術の具体例をまだ挙げていないが、おそらく中国FII(Foxconn Industrial Internet、富士康工業互聯網)が推進中のOff Light Factory(關燈工廠)に関する技術だ。FIIはセンサーと自動化設備を多用し、作業員による目視確認を不要にした製造プロセスを開発している。

南拓:インドを輸出基地に

 インドに関して郭氏は人口に起因する大きな内需だけでなく、輸出基地としての可能性の高さに注目すべきと言う。「インドは中東や東欧が近い。インドはソフトウエアの受託開発といったITサービス大国になった。ハードウエア組み立て産業を育成すれば、インド政府は輸出金額やGDPを格段に引き上げられる。ハードウエア組み立てはサプライチェーン後段にあって単価が高いからだ。ITサービスが1なら、それを使うハードウエアの工場出荷額は3~8に達する。ただしインドには幾つか課題があり、例えば工場用地をとても見つけづらい。課題解決に向けてナレンドラ・モディ(Narendra Damodardas Modi)首相と、FoxconnのCEOとしてではなく、中華民国総統として再び議論したい」(郭台銘氏の動画再生開始点付近の発言を筆者が翻訳)。

北接:日本の技術を守り稼ぐ

 下の動画を見てほしい。

 クリック・タップすると動画が再生される。再生開始箇所での発言を筆者が翻訳する。
「私はシャープ株を買って非常に日本人を尊敬している。職人魂があるからだ。しかし、日本では匠の後継者も工場労働者も不足している。そこで台湾が一部技術を、中国ではなく台湾に移して継承する。台湾は文化、距離、技術力において日本と近い。台湾は日本がつくった知的財産権の『ゴールキーパー』になれる。知的財産権を侵害しがちな中国企業と、台湾の開発生産企業は、生産財購入で付き合いを深める。そうすれば台湾、日本、中国の3者が勝ち組になれる。そして台湾は、日本とFTAを結んで経済圏を形成して『南拓』を進める。この経済圏に韓国は入れない。台湾と直接競合するからだ」(動画:東森新聞)。