新型コロナウイルス禍の長期化に苦しむ日本の飲食業に、材料価格の上昇という新たな難題が降りかかろうとしている。ひと足早く行動制限が解かれた国々で、肉や食用油などの需要が回復しているためだ。ワクチン接種の進展とともに消費が戻り、日本経済が回復していくという日銀などのシナリオに水を差す可能性がある。

牛タンはキロ500円値上げ

 「飲食店の企業努力で吸収できる幅じゃない──」。東京・板橋区の住宅街にある焼肉店の店主は、牛肉の急激な値上がりに直面している。6月下旬から米国産バラ肉を1キログラム当たり1300円から1500円に、同じく米国産のタンを2800円から3300円に引き上げると卸業者から伝えられた。業者は「秋にもまた上がるから覚悟しておいて」と言って引き上げていったという。

6月16日、新型コロナウイルス禍の長期化に苦しむ日本の飲食業に、材料価格の上昇という新たな難題が降りかかろうとしている。都内の繁華街で3月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
6月16日、新型コロナウイルス禍の長期化に苦しむ日本の飲食業に、材料価格の上昇という新たな難題が降りかかろうとしている。都内の繁華街で3月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 日本の輸入牛肉はオーストラリア産と米国産が約9割を占める。独立行政法人農畜産業振興機構がまとめたデータによると、4月の米国産輸入牛肉の卸売価格は、カルビに当たるショートリブが前年同期比10.0%、タンが同23.7%、牛丼などに使われるショートプレートが同66.2%それぞれ上昇。豪州産輸入牛肉の各部位も軒並み上がった。

 足元の価格上昇は、コロナによる落ち込みから回復が早かった米国や中国などで需要が増加していることがベースにある。さらに食肉卸大手の関係者によると、豪州産と米国産ではそれぞれ別の背景もあり、豪州産は2018─19年に起きた干ばつの影響が供給面で制約となっている一方、米国産については、中国が関係の悪化したオーストラリアから輸入しなくなった影響などもあるという。

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