全1707文字
6月11日、トヨタ自動車の定時株主総会の会場(愛知県豊田市)に入る株主(写真:共同通信)

 「事業展開しているインドで、新型コロナ感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)が続いたので、決算処理が遅れ、6月株主総会は通常開催が無理かとヒヤヒヤした」。こう振り返るのは、ある上場企業の総務担当者だ。

 結局、この会社は現地社員のテレワークがうまく機能し、現地監査法人との協議もトントン拍子で進んだため、予定通り株主総会を6月下旬に開催することになった。通常、2人の担当者が登壇して経営状況を語るが、今年は経営状況を説明する動画を見せることにし、新型コロナの感染防止のために時間短縮を図るなどの工夫を凝らす方針だ。ネット配信するバーチャル株主総会については検討する時間がなかったという。

バーチャル株総は二の次

 3月期決算企業の株主総会シーズンが到来している。今年はコロナ禍でインターネットでの映像配信とリアルの会場で同時開催するバーチャル株主総会に注目が集まったが、関係者が期待したほど導入企業は増えなかったようだ。

 バーチャル株総はIDやパスワードによる株主の認証を経て、ネットでライブ映像を見ることができるというもの。「出席型」と「参加型」の2つがあり、出席型は映像を見ながらリアルタイムで取締役選任などの議案に賛否を投票する議決権行使や質問ができるが、参加型はこれらができない。

 三菱UFJ信託銀行がまとめた2020年の動向(上場企業の6月10日公表分まで)によると、バーチャル株主総会を実施するのは88社。19年の11社からは急増しているが、6月に株主総会開催を予定する上場企業全体の4.2%だった。