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香港で「100万人デモ」が行われて1周年の6月9日に議員会館で日本の国会議員が参加するシンポジウムが行われた。このシンポジウム実現には在日香港人らのコミュニティーが大いに関係している。日本の政治の香港への関心が必ずしも高いと言い切れない中で、在日香港人など日本で香港に関わる様々な人はどう動いてきたのだろうか。

左右区別なく賛同・反対できる香港の抗議活動

 6月9日、香港で逃亡犯条例改正反対デモとしていわゆる「100万人デモ」が行われてから1年を迎えた。この日、衆議院第1議員会館では香港問題を考えるシンポジウムが開催された。20人以上の議員が与野党の各党から参加し、今後の香港問題について日本の立法府がどのように取り組むべきか発言した。

 このシンポジウムには、基本的に香港の民主派支援に対して肯定的な議員が参加した。自民党のある議員は「中国は昔から信用ならない国だ」と反中的姿勢を見せ、他の自民党議員は「日本としても民主主義の国として働きかけないといけない」と発言した。日本共産党のある議員は「社会主義や共産党の名に値しない」と中国共産党を非難した。

 逃亡犯条例改正反対運動から始まった香港での一連の抗議活動は、各国のリベラルから保守まで様々な人が賛同しやすい構造を持つ。リベラル層は香港の言論の自由を守り、民主主義を香港にもたらしたいという理由で賛同しやすい。一方で保守層は反中・反共的な運動として賛同できるだろう。

日本でも昨年9月、香港の抗議活動を支援するデモが行われた(写真:ロイター/アフロ)

 香港の民主活動家達は、日本では個別に様々な政治勢力と結びついてきた。例えば「香港独立」を掲げて2018年に活動が禁止された香港民族党の招集人である陳浩天(アンディ・チャン)氏は、日本でも米国でも保守層との結びつきが強い。一方で今でこそ幅広いつながりを持っている周庭(アグネス・チョウ)氏をはじめとする政治団体デモシスト(香港衆志)は日本ではもともとリベラルな政治関係者とのつながりが強かった。私は両者に会ったことがあるが、彼らは意図的につながる相手を選んだというより、香港問題に関心を持つ政治関係者が少なかった中、協力してくれそうな人にとにかく会っていたようだ。結果として日本の様々な政治勢力と関係を持つようになった。

 香港の独立を目指す香港民族党と、一国二制度の下、普通選挙などによる民主化を目指すデモシストの掲げる路線はかなり異なる。だが、親中派などを含めた香港の幅広い政治的スペクトラムの中ではいずれも広義の民主派に属する比較的近い存在だ。それにもかかわらず、彼らが日本で正反対の人々と関わってきたというのは、香港の民主化問題への支持がリベラル・保守で分かれるわけではないことを示す一例と言えるだろう。

 実際に、2019年6月には元SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)のメンバーを中心とした香港を応援するデモが行われた一方で、2019年8月に水島総氏を発起人とする国守衆という保守系団体によるデモが行われ、さらに2019年9月には幸福の科学によるデモが主催された。