主要7カ国首脳会議(G7サミット)は声明で途上国への10億回分の新型コロナウイルスワクチン供与を打ち出したが、一部専門家によると、ここにはこれまでに既に表明された分も含まれており、途上国にもコロナワクチンを分配する国際的な取り組み「COVAX(コバックス)」への影響はやや限られる。ただ、それでもなお、重要な「救命索」であることには変わらないという。
バイデン米大統領は10日の演説で、米ファイザーとドイツのビオンテック連合のワクチン5億回分を寄付すると表明。これも今回のG7の一部だ。
約束されたワクチンの多くはCOVAXを通じて提供される。ただ、すべてが新規の表明ではないし、規模は途上国に必要な50億-60億回分に比べるとはるかに少ない。その上、ワクチンの実際の接種を難しくしかねない配布の問題も解決していない。
それでも専門家らによれば、COVAXがこれまでに世界で配布したのは8300万回分にすぎず、G7が約束した分は必要度が高い。富裕諸国が人口の何倍ものワクチンを備蓄している一方で、COVAXはワクチン確保に必死になっている。

戦略国際問題研究所(CSIS)のグローバル公衆衛生政策研究所のスティーブン・モリソン所長はG7の約束について、「現在のかなりの苦境からCOVAXを救うことになるため、極めて重要な一歩だ」と評価した。
英政府報道官によると、英国の1億回分の約束は「完全に新規」の表明。しかし、欧州連合(EU)による1億回分の約束は5月の世界保健サミットで表明されていた。米政府の約束は部分的には、COVAXに直接資金支援するこれまでの約束の再表明だ。
ホワイトハウス当局者によると、米国は既にCOVAXに20億ドルを寄付済み。バイデン政権は今年2月に、追加で20億ドルの資金提供を約束した。ただ、当局者によると、2回目の20億ドル分は、15億ドル分がさらに増額された上で、ファイザーのワクチンの購入に充てられる。
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