これだけ接種ペースが落ちると、J&J製ワクチンの一部は使用期限切れを迎えてしまう。一方で、世界全体ではどのメーカーのものであれCOVID-19ワクチンへの需要は高い。米国政府は3日、2500万回分のワクチンを他国に無償提供すると発表したが、その一部はJ&J製ワクチンになるだろう。

 J&Jのウェブサイトによれば、少なくとも13ロット分のワクチンが6月27日までに使用期限を迎える。これがどの程度の接種回数に相当するかは不明だが、ワクチンの保存可能期間は3カ月であり、ほとんどは4月上旬に出荷されている。そのうち1100万回分は4月第1週の出荷だ。J&Jでは、さらに1億回分のワクチンを用意しているが、出荷時期は確定していない。

 何回分のワクチンが6月末までに期限切れを迎えるかについて、J&Jの広報担当者はコメントを控えるとしている。

 この広報担当者は声明で、J&Jは自社製ワクチンの利用を支援するため連邦政府、保健当局と協力していると述べ、COVID-19とのグローバルな戦いにおいて重要なツールであると位置付けた。

 「多くの死者を出している今回のパンデミックをできるだけ早く終息させるため、引き続き尽力していく」と、J&Jはしている。

「ファイザーとモデルナにしておこう」

 CDCと米食品医薬品局は4月中旬、2週間近くにわたってJ&J製ワクチンの使用を停止した。非常にまれだが生命に関わる可能性のある「血小板減少を伴う血栓症候群」(TTS)と呼ばれる症例とワクチン接種の関連を調べるためだ。

 当局は、ワクチンのメリットはリスクを上回ると判断した。TTSの症例は、英アストラゼネカ製のCOVID-19ワクチンにも関連付けられている。

 ネブラスカ州で薬局「コールズ・ファーマシー」6店舗を展開する薬剤師のデビッド・コール氏によれば、安全性の問題が浮上する前、複数の企業が従業員向けにJ&J製ワクチンを接種できないか同氏に問い合わせてきたという。

 「トラック運送会社、その他はもっとブルーカラー寄りの、あるいはワクチン接種を呼びかけにくい労働者を抱える企業だった。J&J製ワクチンの全面採用を求めていた」とコール氏は言う。だが安全性問題で使用が一時中止となって以来、「恐らく8割が『ファイザーとモデルナにしておこう』と言ってきた」

 J&J製ワクチンの接種が停止されている間、公衆衛生当局者は、それまで同社ワクチンを使用していた巡回形式のクリニックや事前予約不要のクリニックでは代わりにファイザーとモデルナのワクチンを使うのが適当だと述べていた。

 アラバマ州の公衆衛生当局に所属するカレン・ランダース博士は、「初回投与のために来てもらえれば、ワクチン接種を受ける意志があるのだから、2回めも来てくれるだろう」と語る。

 州及びCDCのデータによれば、ワクチン接種への忌避感が強いワイオミング州やアラバマ州、またワクチン接種がすでに進んでいるメーン州やオレゴン州のような場所では、J&J製ワクチンの利用が減少している。

 J&J製ワクチンの需要が急減している例ばかりというわけではない。ニュージャージー州アトランティック・ハイランズで「ベイショア・ファーマシー」を営むリチャード・ストライカー氏は、特に血栓発生のリスクが低く1回接種で済むことを好む高齢者の間では、J&J製ワクチンへの関心は高いという。