米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの米国内での接種がペースダウンしている。安全性の懸念に加えて、ワクチン接種に対する需要が全般的に足踏みしているためだ。このため、米国内向けに生産された2100万回分のワクチンのうち、半分近くが未使用のままとなっている。

 J&J製ワクチンは、農村地域やワクチン接種に消極的な米国民にも接種を進めていく上で重要なツールになると想定されていた。接種が1回で済み、2回接種が必要な米ファイザーもしくはモデルナのワクチンに比べて、保管条件もそれほど厳格ではないからだ。

 だが、まれに生じる安全性の問題を調査するために一時的に使用中止となった後、接種が再開されて6週間になるが、米国民はおおむねJ&J製ワクチンを避けている。米疾病予防管理センター(CDC)によるデータと、国内8州の保健当局者・薬剤師へのインタビューにより判明した。

 サウスカロライナ州ラマーにある非チェーン系の薬局「ラマー・ファミリー・ファーマシー」のオーナー、ミシェル・バーガス氏は、「以前は接種の順番待ちリストを抱えていたが、今は1日1回、せいぜい1日4回しか接種していない」と語り、農村地域の小さなコミュニティであるラマーでは、J&J製ワクチンへの需要が急減していると言う。「人々は安全性を懸念している。今のところ、それが最大のハードルだと思う」

6月7日、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの米国内での接種がペースダウンしている。写真は5月、ニューヨークでJ&Jのワクチンを準備する医療関係者(2021年 ロイター/Carlo Allegri)

 CDCのデータによれば、5月25日までの1週間で、J&J製ワクチンの接種を受けた米国民は65万人以下で、ワクチン接種全体の約5%だった。接種が一時停止される前の週には300万回近く接種されていた。

 4月中旬以降、ワクチン全体に対する需要も減速しているが、J&J製ワクチンは他社製に比べると落ち込みがかなり急だ。

続きを読む 2/3 「ファイザーとモデルナにしておこう」

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