海外投資家、瀬戸氏側支持を表明

 こうした助言会社の判断は、LIXILのガバナンス不全を問題視してきた海外機関投資家の論点ともかみ合っていない。

 会社側候補(第1号議案)に反対をした、LIXILの約4.42%の議決権を保有するプラチナムのポートフォリオ・マネジャーのクレイ・スモリンスキー氏は、次のように判断基準を説明する。

豪プラチナム・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネジャーのクレイ・スモリンスキー氏
豪プラチナム・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネジャーのクレイ・スモリンスキー氏

 「会社側の候補者は、瀬戸氏解任に賛成した取締役たちに選ばれており、公平性に疑問がある。瀬戸氏解任のプロセスに問題があったことは、外部の弁護士に依頼した調査・検証結果の報告書でも明らかになっているのに、会社側の候補者を選んだ取締役たちは何も行動を起こさなかった」

 「会社側の候補者は、潮田氏、山梨氏が取締役に残っているとき、しかも、それぞれCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)であるときに選ばれている。選定過程で、両氏の影響力があった可能性を否定できない」

 「会社側に瀬戸氏解任の経緯を詳細に説明するように求める書簡を送ったのに返事がなかった。投資家とのコミュニケーションを軽視している」

 「株主提案の方が経営方針が具体的。瀬戸氏は工具のネット販売MonotaRO(モノタロウ)の創業経験やLIXILの事業に対する深い理解があり、事業計画もしっかりしている」

 「会社側は暫定CEOの下でCEOを選ぶと言っているが、『選ぶ』ということを表明しただけで具体性に欠ける。会社側は潮田氏の影響力を排除すると言うが、であればなぜ、瀬戸氏に任せようとせず、瀬戸氏らの株主提案を排除するのか。『喧嘩両成敗』という発想も的外れだ。瀬戸氏側はガバナンスにおける不適切な行動を見過ごすまいと、正しい行動を起こした」

 「上級執行役ら『ビジネスボード』のメンバー14人中10人が、瀬戸氏と業務の執行を続けたいと連名で訴えた書簡は極めて重く、彼らの意見を重視した」

 臨時総会を請求したマラソンは6月14日、声明を発表。その中で「(臨時総会の請求を取り下げた)後の会社側の対応や言動は株主の不信感を増幅するものでした。(中略)むしろ会社側からは株主に対して敵対的な言動が繰り返されました」「今回の会社提案(第1号議案)の取締役候補は、(中略)マラソンを含めて指名委員と面談した株主が望んだものとはほど遠い」「前CEOの瀬戸氏による経営が市場の評価を得ていたことは、突然のCEO交代後の株価下落を見ても明らか」と、怒りをあらわにしている。ポーラー・キャピタルも、同様の声明を11日に発表している。

両陣営で取締役会を構成したら混乱は長期化

 助言会社が、自ら信じる「ガバナンスの形式」から会社側と瀬戸氏側の候補者の賛否を判断しているのに対し、これらの機関投資家は、会社側の次期取締役候補の選定プロセスや瀬戸氏側候補に対する敵対的な姿勢なども含め、株主に対する不誠実な対応を問題視している。

 会社側が瀬戸氏側の候補者を排除しようと対決姿勢を示している以上、両陣営からの候補者がが取締役会を一緒に構成したら混乱を招くのは必至だ。関係者の中には、瀬戸氏側が負けたら、瀬戸氏を支持してきた機関投資家が株を売却して株価がさらに下がり、アクティビストにつけ入られるのではないかと懸念する声も聞かれる。

 助言会社の判断が出たことで、多くの機関投資家会社が会社側か、瀬戸氏側か、どちらを支持するのか最終判断をするとみられる。株主総会は6月25日。いよいよ、大詰めを迎える。

日経ビジネス

2019年6月17日号では「LIXIL 潮田氏 vs 瀬戸氏 確執の源流」を掲載、なぜ、瀬戸氏は解任されたのか、潮田氏と瀬戸氏の対立の背景に何があったのかを探りました。

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2/22ウェビナー開催、ウクライナ侵攻から1年、日本経済「窮乏化」を阻止せよ

 2022年2月24日――。ロシアがウクライナに侵攻したこの日、私たちは「歴史の歯車」が逆回転する光景を目にしました。それから約1年、国際政治と世界経済の秩序が音を立てて崩壊しつつあります。  日経ビジネスLIVEは2月22日(水)19時から、「ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済『窮乏化』を阻止せよ」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、みずほ証券エクイティ調査部の小林俊介チーフエコノミストです。世界秩序の転換が日本経済、そして企業経営にどんな影響を及ぼすのか。経済分析のプロが展望を語ります。視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。 

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