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 議決権行使助言会社大手の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)と米グラスルイスの2社が、ガバナンス問題で混乱が続いているLIXILグループの定時株主総会における議決権行使の推奨を投資家向けに示した。取締役選任議案について、いずれも、昨秋CEO(最高経営責任者)から解任され、会社側と対立する瀬戸欣哉氏に対して厳しい内容になっている。瀬戸氏らは自らを含む8人の取締役候補を株主提案しているが、ISSとグラスルイスは瀬戸氏自身の取締役再任に「反対」を推奨した。

LIXILの次期取締役はどんな顔ぶれになるのか(写真:共同通信)

 一方、瀬戸氏を支持する海外機関投資家からは、助言会社とは逆に会社提案の取締役候補に「反対」を表明する声が相次いでいる。会社側に反対を表明しているのは、潮田洋一郎会長兼CEOと山梨広一社長兼COO(最高執行責任者)の取締役解任を目指して臨時株主総会の招集請求をした英ポーラー・キャピタル・ホールディングスと英マラソン・アセット・マネジメントのほか、オーストラリアのプラチナム・アセット・マネジメント。アクティビスト(物言う株主)ではない長期投資家が株主総会前に議決権行使の立場を表明することは極めて異例だ。

 助言会社と瀬戸氏支持を表明した機関投資家の論点は食い違いがあり、6月25日に迫る定時株主総会を前に混迷度合いを深めている。

 定時総会には、瀬戸氏が自身を含む取締役候補8人を株主提案した。このうち、鬼丸かおる氏、鈴木輝夫氏の2人は会社側の候補者にもなっている。これにより、会社側の独自候補8人(第1号議案)、会社側と瀬戸氏側の共通候補2人(第2号議案)、瀬戸氏側の独自候補6人(第3号議案)が、株主からの信任を競い合う構図になっている。

ISS グラスルイス 会社側
大坪 一彦LIXIL グループ執行役副社長、
LIXIL代表取締役社長 兼 COO
三浦 善司元リコー代表取締役社長兼 CEO
河原 春郎元JVCケンウッド代表取締役会長兼社長兼CEO
×福原 賢一ベネッセホールディングス代表取締役副会長
×竹内 洋元関東財務局長、
元日本政策投資銀行取締役常務執行役員CFO
内堀 民雄元ミネベアミツミ取締役専務執行役員
松﨑 正年コニカミノルタ取締役 取締役会議長
カート・キャンベル元米国務省 東アジア・太平洋 担当国務次官補
ISS グラスルイス 瀬戸氏側
××瀬戸 欣哉LIXILグループ取締役 前CEO
×伊奈 啓一郎LIXILグループ取締役
××川本 隆一LIXILグループ取締役
××吉田 聡LIXIL取締役 専務役員
××西浦 裕二元三井住友トラストクラブ代表取締役会長、
元アクサ生命保険取締役会長
濱口 大輔前企業年金連合会運用執行理事
鬼丸 かおる前最高裁判所判事
鈴木 輝夫元あずさ監査法人副理事長
注:鬼丸氏、鈴木氏は会社側も候補者として提案。両氏は承諾していない

 ISSは、候補者一人ひとりについて「賛成」「反対」を判断。会社側6人、共通候補2人、瀬戸氏側2人に賛成を推奨し、瀬戸氏について反対を推奨した。共通候補の鬼丸氏、鈴木氏は会社側の候補になることを承諾しておらず、実質的に会社側6人に対し、瀬戸氏側4人となり、仮にこのメンバーで取締役会が構成されると、会社側が過半数を握ることになる。

 ISSは、社外取締役候補についてはLIXILと取引がある金融機関の出身者や関係者に反対を推奨したほか、CEOなど経営の経験を重視。企業経営の経験者が多い会社側が有利となった。瀬戸氏側がLIXILと2015年から多額のコンサルティング契約があったとして独立性の問題点を指摘した米国務省出身のカート・キャンベル氏については、「唯一の外国人で企業の経営の知見を生かせる」として賛成を推奨した。