バミューダ諸島やバージン諸島など、課税逃れに使われてきた英領の「宝島」群が過去半世紀で最大の危機に瀕している。主要7カ国(G7)の財務相会合が、課税逃れ防止の国際ルールで合意したためだ。

 大英帝国の名残であるこうした島々は、富裕な中国政府関係者やロシアの新興財閥、西側企業、ヘッジファンドなどにより、納税額を減らす、あるいは完全に秘密を守るためのタックスヘイブン(租税回避地)として活用されてきた。

 英国の非政府組織(NGO)であるタックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)のアレックス・コブハム代表は「今が転換期だ。5 年後か10年後に『そうだ。あの時に変わったんだ』と過去を振り返ることになるだろう」と話した。

 コブハム氏は、取り組みの具体的な内容がまだ十分に練り上げられておらず、政治家が何年も前から課税逃れの取り締まりを約束していることは認めている。

6月7日、バミューダ諸島やバージン諸島など、課税逃れに使われてきた英領の「宝島」群が過去半世紀で最大の危機に瀕している。ケイマン諸島・ジョージタウンで2010年4月撮影(2021年 ロイター/Gary Hershorn)

 TJNの推計によると、企業や個人の課税逃れで失われている税収は世界全体で年間4270億ドル。このうち多国籍企業が利益をタックスヘイブンに移すことで発生した損失は約2450億ドルで、富裕な個人の資産隠しによる損失は1820億ドル。

 G7財務相会合の公約が実現に移されれば、世界の隠匿利益の流れは20世紀の大英帝国崩壊以降、最も抜本的とも言える転換に直面するかもしれない。

 英国海外領土はバミューダ諸島、バージン諸島、ケイマン諸島、ジブラルタル、タークス・カイコス諸島などで、世界に14カ所存在する。

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