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Zホールディングス(ZHD)は2020年代前半に電子商取引(EC)で物販取扱高首位を目指す。悲願達成には、Yahoo!ショッピングなど中核事業の強化策が欠かせず、ヤフーとLINEの連携が重要になる。

 「コマースに関してはもともと強いものではない」。22年2月の決算会見で、ヤフーの小澤隆生社長(当時は最高執行責任者)はこう打ち明けた。Yahoo!ショッピングを含むZHDのショッピング事業は、22年3月期の取扱高が1兆6971億円と、物販系取扱高の約6割を占める。

 取扱高は5年間で1兆円以上伸びたが、これはZOZOTOWNなどが加わったことも大きい。しかし、競合の壁は高い。楽天はポイント経済圏の中で楽天市場を中心にEC事業を拡大させている。アマゾンは築き上げた物流網を武器に即日配送で利用者を捉えて放さない。小澤氏はYahoo!ショッピングが存在感を出し切れていないことに危機感を抱いていた。

 「経営統合の真のシナジーを利かせる」。小澤氏が期待を寄せるのが、LINEとの相乗効果の追求だ。

 協業策の一つとして白羽の矢が立ったのが、LINEが15年4月から始めたLINEギフトというサービスだ。LINEギフトはメッセージアプリのLINEを使い、プレゼントを贈れる。贈りたい相手とのメッセージ画面からサービスに遷移し、商品を購入。相手の住所を知らなくても、受け手が配送先の住所を指定することでプレゼントを届けられる。

メッセージアプリのLINEでプレゼントを贈り合えるLINEギフト
メッセージアプリのLINEでプレゼントを贈り合えるLINEギフト
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 また、スターバックスのドリンクチケットやローソンの商品券といった「eギフト」と呼ばれる現物を伴わない贈り物をすることもできる。サービスの利用者はここ1~2年で加速度的に伸びている。サービス開始からプレゼントを贈ったり受け取ったりした経験のあるユニークユーザーが500万人を突破するまで約4年1カ月を要したLINEギフト。だが、1000万人への到達まではその後約1年4カ月、1500万人は約8カ月、2000万人は約7カ月と500万人増にかかった期間は格段に短くなってきている。

 コロナ禍で直接会ってプレゼントを手渡しする機会が失われた一方、LINEギフトならスマホ1つあれば、プレゼントを贈り合える。

 経営統合前のLINEギフトは、出店者の多くは事業者からの出店依頼を受けてか、トーク画面やアプリ内のニュース画面などに掲載される広告を掲載する企業を頼っての営業によるものだった。「営業チームもチームと呼べないような規模だった」(米田昌平・LINEギフト事業部長)

 しかし、ヤフー側にはLINE特有のLINEギフトが魅力的に映っていた。基本的には相手に使ってほしい、味わってほしい商品を選び、プレゼントする。使い方次第では贈り合う中で消費者が商品に接する機会が増え、商品のファンの拡大や、それに伴ってLINEギフト以外のYahoo!ショッピングをはじめとしたECを使った購入が増える可能性すらある。

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