「クリーンなニホンウナギ」はまだごく一部
イオンによる「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」の発売は、日本のウナギ業界における重要な一歩となるでしょう。しかしながら、課題も残されています。この「クリーンなニホンウナギ」は、イオンが販売しているニホンウナギのうち、ごく一部を占めるにすぎません。現在イオンが取り扱っているニホンウナギの大部分は依然として、違法行為が関わっている可能性の高い、クリーンとは言えないウナギです。
イオンは2018年に発表した「ウナギ取扱方針」において、2023年までに販売するウナギの100%を、シラスウナギの採捕地までトレースできる、クリーンな商品にすると発表しました。今後イオンの取り組みがどのように進められるのか、注目されます。
もう一つの課題は、「トレースできる」とする根拠がイオン独自の仕組みに基づいており、第三者機関の検証がなされていないことです。今後、「トレースできるクリーンなウナギ」であることの、客観的な証明が必要とされるでしょう。さらに、「違法ではない」というだけでなく、ニホンウナギの持続可能な利用の実現に向かって取り組んでいくことも当然、求められます。
まだまだ高いハードルが残されているとしても、期限を切ってトレーサビリティーを確立するとのコミットメントを発表し、実行に移した小売業者または生活協同組合は、私の知る限り、これまで存在しませんでした。大手小売業者からこのような宣言がなされ、実際に結果に結びつけている努力は、称賛されるべきでしょう。イオンのような努力が小売業界に広がることによって、違法行為の横行しているニホンウナギの業界が、変革されていくことが期待されます 。
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