手数料に見合う「納得」

 キャッシュレス決済が伸び続けるかどうかの分水嶺を迎える中、米国にヒントがみえる。小売りや外食など幅広い業態に決済システムを提供する大手のSquareだ。

 Squareはガラス工芸家のジム・マッケルビー氏が自分の作品を販売する際、クレジットカードでの支払いを受け付けられず、販売機会を逃したことをきっかけに設立した。「Squareの存在意義は、中小企業や十分なサービスを受けられない人々が経済活動に参加できるようにすること」(Squareゼネラル・マネージャーのデイビッド・タラック氏)として、決済だけでなく従業員の給与支払い、顧客管理など経営支援につながるサービスへと領域を広げてきた。

 その柱の一つが、事業者向け融資だ。日々の売り上げを基に借入可能額を自動ではじき出し、事業者は最短、翌日に融資が入金される。返済額も売り上げが少ない日は少なく、多い日は多くなる仕組みだ。伝統的な金融機関の融資審査が画一的な一方、店舗の実情に鑑みて資金を融通しており、女性など「マイノリティー」が経営する事業者への融資比率が高い。

 このように単に支払い機能だけでなく、加盟店が納得しやすい付加価値の提供にまで踏み込めば、自然とキャッシュレス普及率も高まっていくだろう。

 大規模還元や手数料ゼロをうたって、勢力を広げる第1幕は終わった。物珍しさやコストの低さで利用してきたユーザーや加盟店も、使い続けるメリットが薄まれば根強い現金信仰に押し戻される恐れがある。キャッシュレス決済を軸に、付加価値をいかに高めていくか。次の競争が始まっている。

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