ローソンでも使えるファミペイ

 キャッシュレス決済が広がったこの2年間、小売業やサービス業が独自のスマホ決済システムを開発する例が増えてきた。垂直と水平の両にらみ戦略を採るのが、ファミリーマートが19年7月にスタートした「ファミペイ」だ。

 来店頻度を高めるため、購買履歴に併せて人気商品のクーポンを毎月配信し、一部のクーポンは知人にプレゼントできるほか、ペットボトルのお茶やコーヒーなど習慣性が高い商品の回数券も用意した。

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 ファミペイ以前はアプリ活用に熱心でなく、「セールは店頭で十分伝わると、あぐらをかいていた」(ファミマの佐藤邦央イノベーション&アライアンス推進部長)。そこをコロナ禍が襲った。都心の店舗への来客が減り、店外で顧客とつながる一手が急務となった。

 Tポイントや楽天ポイントなど共通ポイントのみでファミペイを使っていない客に比べて、ファミペイユーザーは月の来店回数が2倍ほどになっている。来店頻度が高い人がファミペイを導入する傾向はあるものの一定の成果を上げているようだ。

 商品を供給するメーカー側のファミペイへの期待も高まっている。例えば、ビールのようなファンが固定化しやすい商品でも、メーカーは自社に消費者を引き寄せようとファミペイ向けにクーポンを発行する。試作品や特定商品のマーケティングにファミペイを活用する動きも増えている。

 ファミペイは20年10月にファミマ以外の実店舗で使えるように機能を開放した点が無印良品やユニクロと異なる。外食や家電量販、ドラッグストアだけでなく、実はローソンでも使える。フランチャイズ加盟店から「色々なお店で使えるほうが来店客に導入を勧めやすい」という要望があったためだ。

 ファミペイの決済システムを運営する子会社、ファミマデジタルワンの中野和浩社長は「ファミペイは(各種サービスのミニアプリを多数内包する)スーパーアプリでも、単なるスマホ決済アプリでもなく、ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡(きょうとうほ)としてのアプリだ」と語る。

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