若手の働きがいを高める条件とは
石田氏は「社員が働きがいを感じられる働き方とは、挑戦と安心がセットで提示できていることだと考えている。ITベンチャーから出発したサイバーエージェントは、社員が積極的に新規事業にチャレンジできるよう支援し、失敗してもそれを許容できる文化が醸成されている。個の力に頼るだけではなく、あした会議などでチームワークも大切にしており、こうしたハイブリッドな働き方で、社員の成長を促進している」と指摘する。社外で社長としてバリバリ働けるスキルがあるような優秀な社員でも社内で抱えられる秘密は、事業の失敗リスクを会社が負う手厚い支援態勢を意識して構築していることにある。
社会貢献を重視し、社内に独自の制度を導入して高評価を得ている企業もある。
働きがいのある企業ランキングで上位に入った米セールスフォース・ドットコムの日本法人は、「1-1-1モデル」という社会貢献活動を取り入れている。株式の1%を資金提供や寄付に回し、製品の1%を非営利団体に無償提供し、従業員の就業時間の1%を、ボランティア活動に費やしている。全従業員は自ら選んだ場所でボランティア活動をするための有給休暇を与えられている。オープンワークによると、こうした社会貢献は、同社の入社理由の2位に掲げられ、企業にとどまる理由の3位になっている。世間を意識した取り組みが生産性向上やモチベーション維持、優秀な人材確保につながっているようだ。
今後、若手の働きがいを向上させるために必要な施策は何か。オープンワークの大沢陽樹社長は「変化の激しい今の時代、理念や風土で束ねられた優秀な人材を確保できるかどうかが重要。そのために社員の働きがいを大切にし、事業戦略と組織戦略がひも付いた経営戦略を取るべきだ」と語る。
そのための視点が「柔軟性」だ。例えば、集合研修について、「入社○年目はこの研修」と画一的にするのではなく、職種や役割に応じて個人がプログラムを選べるようにする。異動を立候補できるように社内の労働市場を開放したり、企業の離職者・退職者の集まり(アルムナイ組織)をうまく活用したりする。こうした工夫が求められるという。
いつの時代も、人材が事業の成長エンジンであることは変わらない。その重要性を認識して、従業員に寄り添った形で組織が変わらなければ、あなたの会社も口コミサイトで「ゆるブラック」の烙印(らくいん)を押されるかもしれない。
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