口コミ700万件から見えたこと

 興味深い調査もある。オープンワークが約700万件の口コミや企業評価を分析した2018年の調査によると、「20代で成長させてくれた(20代成長環境スコア)」(5.0点満点)の評価項目で高得点(4.0点以上)がついた割合は、「長時間働いた(残業が月60時間以上)」という20代が41.1%で、20代全体の割合(32.6%)を上回った。

 長時間働いた若者が、企業を評価する割合は平均よりも高いことが分かった。つまり、自分が成長できる機会を得られるならば、働く時間に関係なく(残業時間が増えても)、その職場を前向きに評価する面があるわけだ。

 挑戦と安心、ハイブリッドな働き方を提供

 若者に評価されている企業は、どのような人事施策をとっているのか。オープンワークの「働きがいのある企業ランキング」で総合スコアが上位1%に入り、前述の働きがいに相関のある4項目の企業評価でスコアが4.0超の高得点を得ているサイバーエージェントでは、3つの特徴的な施策を実施している。

 まず、「実力主義的な終身雇用が実現できる職場環境」。100社を超える子会社や新規事業があり、スタートアップ企業を時価総額で評価し、撤退ルールもある。社内に投資委員会があり、資金がショートしそうになれば、委員会で説明して資金調達をしなくてはならない。このため、社外で起業するのと同じぐらい厳しい環境下に置かれるが、一方で事業が失敗したとしても再チャレンジできる土壌が企業内にある。コロナ禍でも10以上の新規事業が立ち上がった。

 次に、「経営層と社員との距離の近さ」。例えば、役員と直属部下ではない社員の計5人チームを組み、会社の課題について組織横断的に話し合う「あした会議」を年1回開催する。役員の直接の部下ではない人をグループに入れるのがミソで、この会議に選ばれた社員は一目を置かれるという。実際、コロナ禍の2020年4月、スポーツ、演劇などのエンターテインメント産業の無観客での生中継支援などを手掛けるOEN(東京・渋谷)が誕生した。また、新卒で入社したばかりの社員でもグループ会社などの社長に就ける仕組みが備わっており、新卒入社の社員に4000万円を支給し、子会社を設立させて社長に就任させた例もある。

 さらに、「企業理念への共感重視」。採用面接では、何をやるかではなく、何をなし遂げるかを重視しており、学生と社員との面談が5回を超えることもあるという。同社の石田裕子専務執行役員は「能力だけでなくうちのカルチャーに合うかが重要」と語る。理念の理解が深いため、広告からゲーム、メディアへと事業の多角化が進んでも社員の高いモチベーションが維持できているという。

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