「成長の実感が皆無。自分の実績やスキルに焦りを感じた。やる気のある人、仕事ができる人はどんどん転職していくイメージ」(営業、女性)

 「『大企業の歯車の一つ』という働き方しかできず、自分の市場価値を上げていくのが難しい。新しいことに挑戦しようという雰囲気が職場全体としてみられず、自分の成長の妨げになることが多かった」(営業・事務、男性)

 これらは今年、就職・転職支援のオープンワーク(東京・渋谷)が運営する口コミサイト「OpenWork」に新卒入社の20~30代が投稿した「退職検討理由」だ。対象は有名な一流企業。こうした企業は「ゆるブラック企業」と呼ばれている。

仕事は楽だが、自分が成長できない「ゆるブラック企業」という言葉が一部で話題に。写真はイメージ(写真:PIXTA)

 残業もなくて働きやすいが、成長をさせてくれない――。ゆるブラック企業は、そんな企業を指す造語であり、長時間労働を強いる「ブラック企業」と、その反対の「ホワイト企業」との中間にある「パープル企業」ともいわれている。インターネット上などでは2年ほど前から、「成長できない企業」を示す言葉として使われている。

厳しい現場を経験させ成長促す

 日本企業の新卒採用では、学生のスキルやパフォーマンスだけでなく、ポテンシャルも重視して採用し、入社後に研修など社員教育が行われる。20代の若いうちに厳しい現場を経験し、成長していくことが多い。単なるハードワークではなく「あの仕事をしたから今がある」という心持ちに達するのが重要と指摘されている。

 もちろん、仕事にやりがいを一切求めていない人、仕事でストレスをためたくない人、同じことをコツコツと続けることが好きな人など、「ゆるブラック企業」に向いている人もいる。一方で、将来のキャリアを見据え、現状に異を唱える人も増えているようだ。

 「情報過多の中で育った今の就活生は、新型コロナもあり将来への危機感も強い。スキルを付けなければ生きていけないとの意識も高くてとても優秀だ」。こう語る大手企業の採用担当者は、新型コロナ禍を経てそうした傾向が強まっているとみる。

 「働き方改革と働きがいの不都合な関係、若手が求める成長環境とは」でも示した通り、日本企業では働き方改革で残業時間が減っている一方、働きがいは低下傾向にある。働きがいの低迷は離職率の高まりや生産性低下につながりかねない。オープンワークによると、働きがいと相関関係にある企業への評価項目は「20代で成長させてくれた」「社員の士気が高い」「社員が相互尊重している」「風通しがいい」の4つだという。

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