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(写真:PIXTA)

 「会社」は、「会う社(やしろ)」と書く。日本においては、「仕事をするために会う場所」として、当たり前の存在だった。今回の新型コロナウイルスの感染防止のため、その「場所」に集まることができなくなり、多くの企業が「在宅勤務」をせざるを得ない状況に陥った。

 「テレワーク」という言葉が、各所で露出している。国が「ICTを活用して時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義する、働き方のコンセプトだ。本来、自宅だけでなく、サテライトオフィスや、移動先で仕事をすることも含まれる。感染対策の視点から、その一形態である「在宅勤務」が注目されているという状況だ。

 しかし、「テレワーク」は感染対策のためだけの働き方ではない。全国での緊急事態宣言が解除され、先の見えない「Withコロナ時代」に入ろうとしている今、企業は「Afterコロナ」の働き方について何をすべきか、どんな働き方を目指すべきか。また、解除により「全員出社に戻る」企業は、今後どのような状況になるのか、起こっている事象を見ながら考察する。

「Beforeコロナ」の在宅勤務経験者は、たったの5%だった?

 新型コロナ禍の前、日本において、「テレワーク」を制度としている企業はどれぐらいだったか。総務省の平成30年通信利用動向調査では、以下の結果となっている。

総務省の平成30年通信利用動向調査

 全国の従業員100人以上の中小企業で約19.1%、導入予定を合わせると26.3%。調査時期が平成30年9月末であることを考慮して、「Beforeコロナ」のテレワーク導入率は、約4分の1になる。しかし、ここで着目したいのは、右側の「テレワークの形態」だ。「在宅勤務 37.6%」ということは、導入済み・導入予定企業26.3%の37.6%、つまり約1割の企業しか在宅勤務制度を導入していないことになる。

 また、もう1つ注目すべき数字は、「テレワークを利用する従業員の割合」である。導入している企業であっても、利用している従業員が5%未満の企業が48.4%となっている(この数字は在宅勤務に限っていない)。

 一方、個人への質問によると、「企業等に勤める15歳以上の個人のうち、テレワークを実施したことがあると回答した個人の割合は8.5%となっており、実施したテレワークの形態については、『在宅』の割合が61.9%」となっている。

 以上の数値から、「Beforeコロナ」の在宅勤務は、制度を導入済みの企業が約1割、在宅勤務を実施したことがある従業員は約5%と推測できる。これは、長年テレワーク専門のコンサルティングを実施してきた筆者の感覚にも近い。

「Underコロナ」での在宅勤務は約3割?

 1月下旬から感染リスクが高まる中、社員の安全のため、テレワーク制度を導入していた企業の大半は、在宅勤務に切り替えた。4月7日に7都府県に対して緊急事態宣言が出され、16日には全国に拡大、安倍晋三首相が出した「出勤者7割削減」という方針により、在宅勤務を実施したことがない企業も大きく動いたのだ。

 では、「Underコロナ」のテレワーク(在宅勤務)状況はどうだろうか。各所で様々な調査が実施されているので、以下の3つの調査結果をピックアップした。

 調査期間、調査地域、調査対象などが異なるため一概には言えないが、緊急事態宣言下においては、大企業や都市部では50%を超える企業や社員が在宅勤務を実施、全国ベースでは約3割の企業が「在宅勤務」を実施したと考えられる。