
世の中がChatGPT(チャットGPT)で盛り上がる中、いまいちブームに乗り切れていない人も多いのではないだろうか。その理由は、あまりにもグーグル検索に慣れてしまい、グーグルで検索するのと同じようにChatGPTを利用してしまっているからではないであろうか。
では、グーグル検索とChatGPTの違いは何か。それは、グーグルが「検索」を目的としているのに対して、ChatGPTは「生成」を目的としていることだ。例えば、グーグル検索は、既存の文書を検索することが得意だが、ChatGPTは新しい文書を生成することが得意だ。そして、生成できる対象は単なる文書だけでなく、ソフトウエアのプログラムコードをも生成できてしまう点に革命的な価値がある。
ChatGPTが生成できるソフトウエアは、社会課題の解決から、ビジネス活用、そして、個人で趣味を楽しむものまで、様々な機能を持たせることが可能だ。「AI活用を活用して脱炭素社会を実現するためのサンプルコードを生成して」と入力すれば、ChatGPTはサンプルコードを実際に生成してくれる。
上記のサンプルコードは、AIを用いてエネルギー効率の向上や炭素排出量の予測を行うサンプルコードであるが、「別のサンプルコードを生成して」と指示し続ければ、大量に脱炭素社会に貢献するプログラムを生成し続けることができる。
あるいはある日、話題のジャズ漫画がアニメ映画化された『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』を見に行ったとしよう。グーグル検索の時代では、映画を見てジャズに興味を持った後、セロニアス・モンクとビル・エヴァンスのアルバムを検索し、購入して聴き比べるようなことができた。これに加えて、ChatGPTによる生成の時代では、セロニアス・モンク風とビル・エヴァンス風の新たな楽曲を生成し、さらに、その楽曲を自動演奏してくれるソフトウエアをも生成し、人と人工知能(AI)がライブで一緒にセッションをすることも可能になる。
勝つ人材は「検索人材」から「生成人材」へ
このような事例にある通り、ChatGPTで勝つ人材は「検索人材」から「生成人材」に移行していくだろう。答えのある問題に対して正解を検索してrightness(正しさ)を主張する時代から、これまで解くことができなかった地球規模の社会課題に対して、新しいソフトウエアを生成することで解決し、かつ、新たな文化を創造していくrichness(豊かさ)を生み出す時代がやってきたのだ。
それでは、ChatGPTで勝つ「生成人材」になるには、どうしたらよいのであろうか。最初の一歩は、ChatGPTに質問をして回答を求めるのではなく、生成するための指示を出す癖を身に付けることだ。
具体的なChatGPTへの入力イメージとしては、「××について教えて」ではなく、「××を生成して」のような指示を出していくような入力形式になる。「脱炭素社会にプログラミングは貢献しますか」ではなく、「脱炭素社会に貢献するソフトウエアのサンプルコードを生成して」のように、作ってほしいものを伝えて生成するのである。
まずはダメ元で聞いてみる
この際に最も重要なのは、「生成できるかどうかは分からないけれども、まずは、ダメ元で聞いてみる」ことだ。筆者も最初は脱炭素社会に貢献するソフトウエアのサンプルコードを生成するなんて、まさかできないだろうと思っていた。しかし、ダメ元で聞いてみても意外に答えてくれるのがChatGPTの良いところだ。質問ではなく生成を指示する、その際、ためらわずに思い切って「これを生成して」と言い切ってみることが、ChatGPTで勝つ「生成人材」になるための第一歩だ。
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