バッテリー技術が握る行方
現在のバッテリー技術では、アフォーダブル(手頃)な価格で多くの人が望む航続距離、充電時間を満たすことは無理だ。いまトヨタが開発を進める全固体電池が実用化されるなど大きな技術的なブレークスルーがない限りは難しい。
また、どうやって発電するのかも大きな課題だ。中国では現在、45基の原発が稼働しており、さらに11基を建設中という。大量の補助金を用意し、国策として半ば強制的にNEVを推し進める。またノルウェーは、国内の電力消費量のほぼ100%を水力発電でまかなっており、2025年にはガソリン車やディーゼル車販売禁止の方針を打ち出している。2019年3月の新車販売でBEVの比率が5割を超えたという。これらの国では一気にBEVが普及するだろう。世界は一様でなく国によって事情はさまざまだ。
日本では電動化は進むのか?
では日本はどうなのか。これはあくまでマツダ車のデータだが、2030年にすべてのモデルを電動化するものの、BEVの割合はわずか5%、95%は内燃機関が残ると予測する。もう少しBEVの割合が増えてもいいような気もしなくもないが、冷静な見立てといえるだろう。
また、日本にはいまや新車販売の4割以上を占める軽自動車がある。車両価格は安く、優遇税制があり、燃費がよく、室内も広く、使い勝手のいい軽自動車のユーザーに、BEVを使ってもらえるようにするには、ハードウエアの進化だけでなく、コストや税制、それこそ軽自動車という枠そのものを見直す必要性も出てくるだろう。
世界初の量産BEVである三菱「i-MiEV」が登場して約9年、その頃もいまもBEVは自宅で充電し、1充電航続距離の範囲で使うのがもっとも効率的であることはかわらない。
しかし、長い目でみれば、乗用車のみならず商用車やバスなどの公共交通機関、さらには航空機まで電動化する時代がきっとやってくるだろう。
この自動車業界にとって100年に一度の大変革期を迎えたいまの日本には、ピュアな内燃機関のそれこそV12エンジンを搭載したクルマから、BEVやFCVまでいくつもの幅広い選択肢がある。そう考えれば、平成から令和にかけての数年間は選択の自由を最大限に享受できるいい時代だったのだと、あとになって思うのかもしれない。
倒産寸前の日産自動車を再建し、カリスマ経営者の名をほしいままにしたカルロス・ゴーン氏。2018年11月に突如逮捕され、権力の座から転落した。ゴーン氏とは、いったい何者だったのか? いかにして絶対権力を握ったのか? その功罪とは? 転落の背景には何があったのか? 「日経ビジネス」が追い続けた20年の軌跡から、ゴーン氏と日産・ルノー連合の実像に迫る。
「今に見ちょれ」──。拡大戦略が失敗し、値引き頼みのクルマ販売で業績は悪化、経営の主導権を外資に握られ、リストラを迫られる。マツダが1990年代後半に経験した“地獄”のような状況の中、理想のクルマづくりに心を燃やし、奮闘した人々がいた。復活のカギ「モノ造り革新」の仕掛け人、金井誠太氏(マツダ元会長、現相談役)がフランクに語り尽くす。改革に使われた数々の手法の詳しい解説コラム付き。
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6/20ウェビナー開催、「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」

近年、ChatGPTをはじめとする生成AI(人工知能)の進化と普及が急速に進み、私たちの生活やビジネスに革新をもたらしています。しかし、注意が必要なリスクも存在します。AIが誤った情報を生成する可能性や倫理的な問題、プライバシーの侵害などが懸念されます。
生成AIの利点をどのように理解し、想定されるリスクに対してどのように対処するか。日経ビジネスは6月20日(火)に「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」と題したウェビナーを開催します。日経ビジネス電子版にて「『AI新時代』の落とし穴」を連載中の米シリコンバレーのスタートアップ企業、ロバストインテリジェンスの大柴行人氏を講師に迎えて講演していただきます。
通常の日経ビジネスLIVEは午後7時に開催していますが、今回は6月20日(火)の正午から「日経ビジネス LUNCH LIVE」として、米シリコンバレーからの生配信でお届けします。ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■テーマ:「AIバブル」の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う
■日程:6月20日(火)12:00~13:00(予定)
■講師:大柴 行人氏(ロバストインテリジェンス共同創業者)
■モデレーター:島津 翔(日経BPシリコンバレー支局 記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス、日経クロステック、日経クロストレンド
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