(写真:PIXTA)

 2021年4月15日、全国主要地域から選ばれた日本発のスタートアップ経営者24人が次々と登壇し、世界中の投資家やベンチャー起業家に事業を売り込むオンラインイベントが開かれた。約300人の世界のプロ投資家らを前に、様々な年齢の登壇者たち全員が、英語だけで次々と見事なプレゼンテーションを披露。いずれも、日本国内が活動のメインであるにもかかわらずだ。

 登壇者の慣れた様子には、秘密があった。実はこのイベント、世界的に知られるスタートアップのアクセラレーター、米テックスターズが、組織づくりから英語で自分を売り込む話術まで、日本人経営者らの「経営力・発信力底上げ」に全面的にかかわってきたプログラムの一環。アクセラレーターとは、様々な段階にあるスタートアップを、ノウハウや投資で支援する組織のことである。内閣府と経済産業省、日本貿易振興機構(ジェトロ)が主導したものだ。スタートアップのオンラインイベントは規模を問わず無数に存在するが、世界的なアクセラレーターが、日本企業の中心的なサポーターとして携わることは珍しい。

 一連の日程のクライマックスにあたるこのオンライン事業発表会は「デモデイ」と呼ばれ、ベンチャー経営者が投資家に対して自社を「ピッチ」(売り込み)し、資金調達を図ることを目的とする。ロボット、農業、医療補助からブロックチェーンまで多彩な事業のグローバル展開に挑む経営者たちが、英語で作成した説明用の資料を投影しながら、真剣な表情で自社を売り込んでいた。

 テックスターズは、参加した50社のうちグローバル進出を狙う24社に対して、英語による発表の仕方の指導や意思決定における助言などで大きな役割を果たした。「過去に世界の約2400社に投資した経験から言って、今回担当した24社の事業はユニークで、世界でもかなり競争力がある。絶対に勝てる」と、テックスターズで今回のプログラムを担当したオコ・ダバーシュレン氏は断言する。

米テックスターズのオコ・ダバーシュレン氏

 テックスターズは6800人以上のメンター、16000人以上の投資家との豊富なネットワークを特長とするアクセラレーターだ。同社によれば、過去12年間に世界各国で約43のアクセラレーションプログラムを実施し、約6100社超のスタートアップを育成、12社のユニコーン企業を輩出してきた。投資活動としても約2400社のベンチャーに資金を投じている。参加した経営者らは、東京、福岡、静岡、鹿児島などそれぞれの地元にいながらテックスターズのネットワークをフル活用し、グローバル市場における「スタートアップの作法」を手取り足取り学び取る機会を得ることができた。

 「自分は参加者の中で、一番数多くのメンターとつながったかもしれない」と話すのが、横浜市立大学発の医療ベンチャー、CROSS SYNC(横浜市)の南部雄磨CSO(最高戦略責任者)だ。同社は集中医療や救急・麻酔が専門の代表取締役医師、高木俊介氏の思いからスタートしたベンチャーだ。

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