大企業も課題

 複数の政府関係者は「既存の大企業も、スタートアップ育成に向けた課題が多い」と語る。実は産業界に対し、新興企業への支援策をさらに具体的に打ち出すよう求める声も政府内にあった。ただ、積極的にリスクを取ることに慎重な大企業も多い。なかなか一枚岩にはできなかったという。

 ここ数年、大企業がスタートアップに投資する社内組織としてコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)を活用する例も増えてきた。しかし、1件あたりの投資額はまだ限定的で、買い取り請求権についても起業家にとって不利なケースがあるという。経産省は「CVCが急速に増加する中でスタートアップの成長について理解が不足したまま、自社の優位性を確保する商慣行が生じていたりする」と指摘する。

 そもそも事業会社は金融機関ではないので、他社に大規模に出資してハンズオンで関わっていくような専門人材は多くない。南場氏は「大企業がマイノリティー出資をするというより、事業会社として自社内に取り込むM&A(合併・買収)を積極化して、スタートアップのエコシステムに貢献してほしい」と提言する。

 日本のVCにとってイグジットの選択肢が少ないことは、前々から課題として指摘されてきた。大企業への株式譲渡が盛んではないため、国際的には小粒の状態でも投資先を新規上場(IPO)させて利益を確定する。起業家もVCも「世界的な大勝ち」を狙いにくく、出資時にせせこましい契約条件を付ける背景にもなっている。スタートアップへのくびきを少なくしつつ資金を循環させるには、大企業の取り組みも欠かせない。

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2/22ウェビナー開催、ウクライナ侵攻から1年、日本経済「窮乏化」を阻止せよ

 2022年2月24日――。ロシアがウクライナに侵攻したこの日、私たちは「歴史の歯車」が逆回転する光景を目にしました。それから約1年、国際政治と世界経済の秩序が音を立てて崩壊しつつあります。  日経ビジネスLIVEは2月22日(水)19時から、「ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済『窮乏化』を阻止せよ」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、みずほ証券エクイティ調査部の小林俊介チーフエコノミストです。世界秩序の転換が日本経済、そして企業経営にどんな影響を及ぼすのか。経済分析のプロが展望を語ります。視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。 

■開催日:2023年2月22日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済「窮乏化」を阻止せよ
■講師:小林俊介氏(みずほ証券エクイティ調査部チーフエコノミスト)
■モデレーター:森 永輔(日経ビジネスシニアエディター)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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