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経営学の泰斗、コトラー教授は新型コロナウイルスの影響が「ニューノーマル」をもたらすとみる。経営者は新しい状況に適応しながら、回復力を高め、創造力を発揮すべきだ。決断を誤れば、ブランド価値の毀損にもつながりかねない。

米ノースウエスタン大学ケロッグスクール教授
フィリップ・コトラー氏

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界中を襲っている。「コロナ・パンデミック」に対して、私たちはまず、それを撲滅するために全力を尽くさなければならない。

 現代人は自然を征服できると信じて生きてきた。しかし、結局のところ、自然は私たちを征服する能力を持っている。それを示すのが今回の出来事だといえるだろう。細菌やウイルスは地球上にある生命の一部であり、我々は細菌やウイルスといっしょに暮らしながら、それらをコントロールすることを学ぶ必要がある。

 大変な状況だが、これは変化をもたらすきっかけになる一面がある。世界中のほとんどの人々は、新型コロナウイルスの感染拡大を前にして「自分たちの元の生活に戻りたい」と思っている。しかし、振り返ってみれば多くの人々にとって、その生活がそれほど良いものだったかといえば、実は必ずしもそうではなかった。多くの人々は貧しかったし、おなかをすかせていたし、そして何よりも働きすぎていた。

 私たちは今回の出来事をきっかけにして、いろいろなことを変えていくことになるだろう。そして、ここから多くの人々が充実し満足する生活ができる機会が得られる「ニューノーマル」をつくっていくべきだ。

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 ニューノーマルの下ではマーケティングの在り方も大きく変わる。企業は消費者や競合他社の行動や政府の規制が大きく変化したことを踏まえて、製品やサービスの戦略、メディア・プラニングやリレーションシップを再考する必要がある。

 もっと言えばバリュープロポジション(競合と違うポイントをメッセージの中に入れていくこと)、製品ライン、市場セグメント、価格設定、チャネル、および地理的領域を見直さなければならない。企業は忠誠度の高い顧客の興味を引き付けて維持するためには、ソーシャル・プログラムやパーソナライゼーションへの投資が継続的に必要であることが見えてくるだろう。

 既にいくつかの興味深い企業のケースが出てきている。