米シリコンバレーの半導体製造企業マーベルは、2016年に回収されたロシアの偵察用ドローンの中から自社製半導体が見つかったことを知り、その経緯を調べ始めた。

米シリコンバレーの半導体製造企業マーベルは、2016年に回収されたロシアの偵察用ドローンの中から自社製半導体が見つかったことを知り、その経緯を調べ始めた。写真はコンフリクト・アーマメント・リサーチが調査した、ロシア製ドローンに使われたマザーボード。キーウ(キエフ)で2019年5月撮影され、2022年3月31日にロイターに提供(2022年 ロイター/CONFLICT ARMAMENT RESEARCH)
米シリコンバレーの半導体製造企業マーベルは、2016年に回収されたロシアの偵察用ドローンの中から自社製半導体が見つかったことを知り、その経緯を調べ始めた。写真はコンフリクト・アーマメント・リサーチが調査した、ロシア製ドローンに使われたマザーボード。キーウ(キエフ)で2019年5月撮影され、2022年3月31日にロイターに提供(2022年 ロイター/CONFLICT ARMAMENT RESEARCH)

 この半導体の価格は1個2ドル(約245円)にも満たない。2009年にアジアの流通業者に出荷され、アジアの別の業者に販売されたが、後者はその後廃業した。

 マーベル・テクノロジー・グループのクリス・クープマンス最高執行責任者(COO)は最近のインタビューで、「それ以降の追跡は不可能だった」と語った。

 数年後、同じ種類の半導体がリトアニアで回収されたドローンからも発見された。

 マーベルの場合と同様に、自社のローエンド製品の多くが最終的にどこで使われているかを追跡する能力が半導体メーカー側にないことを示す例は無数にある、と経営幹部や専門家は語る。これでは、自国製テクノロジーのロシア向け流出を阻止することを意図した米国の新たな制裁の効果が損なわれかねない。

 スーパーコンピューターを構築可能なハイエンドの高性能半導体は企業に直接販売される一方で、たとえば電源制御といった単機能の低価格半導体はコモディティー的な存在として、しばしばリセラー数社を経由して何らかの機器に搭載される。

 テックインサイツの半導体エコノミストであるダン・ハッチソン氏は、世界の半導体産業による今年の半導体出荷量は5780億個になると予想されるが、そのうち64%はこうした「コモディティー」だと説明した。

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