入山:まさに、その通りだと危惧しています。DXだけをやろうとしている会社は、おそらく大半がうまくいかないでしょう。DXだけでなく、会社や業務のやり方全体を変える必要があります。
ところが、今、コロナ禍で“奇跡”が起きています。必要に迫られ、全部を一気に変えられるチャンスが出てきているんですよ。働き方改革にしても、これまで進まなかったものが強制的にせざるを得ない状況になった。そうすると、評価制度も変えていかなければならない。
新型コロナは年内には収束するかもしれませんが、リモートワークはある程度、社会に実装されたので残っていくでしょう。リモートワーク下では、何時間働いたかは評価対象ではなくなります。これからは「何時間働いた」「会議室で座っていた」ではなく、きちんと成果を出すかどうかが重要になります。
つまり、企業の評価は成果主義へと変わっていくでしょう。成果主義では、「あなたの成果は何ですか」「あなたのジョブは何ですか」という問いの答えをハッキリさせなければなりません。
こんな機会は平成で一度もなかった
いわゆる「ジョブ型」のような評価制度に変化していく、ということですね。
入山:評価制度だけでなく、雇用も確実にジョブ型に変わっていくでしょう。こうしてDXだけでなく、働き方、評価制度、雇用形態もすべて変えられるのが今なんです。こんな機会は、平成の30年間、一度もなかった。
コロナ禍という大変な事態ではありますが、全体を見直し、変えられるビッグチャンスです。ここで変化できる会社は、イノベーションを起こし、成功していくでしょう。一方で、変化できない会社はそのまま衰退していくしかない。だからこの数年は非常に重要です。最高のチャンスでありながら、最後のチャンスでもある、と私は考えています。
これから数年で、伸びる会社と落ちていく会社の差が開いていく。
入山:間違いないですね。すでにもう差がついてきていると私は理解しています。実際に今、日本の株価をけん引しているのは、ファーストリテイリング、ソフトバンク、信越化学、キーエンスといった時価総額上位の数社ですよね。全体の株価が上がっているように見えて、すべての会社の株価が上がっているわけではない。投資家期待という意味では、すでに優勝劣敗が明確になっていると言えるでしょう。
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