米政府が6日に発表した対ロシア追加制裁は、プーチン大統領の2人の娘、マリア・ウラジミロフナ・ボロンツォワ氏とカテリーナ・ウラジミロフナ・ティホノワ氏が対象に含まれている。プーチン氏の資産隠しに関与しているとみなされたからだ。
追加制裁に関する詳しい説明を見ると、妹のカテリーナ氏はハイテク企業幹部としてロシア政府と国防省を支援する仕事に携わっている。姉のマリア氏は、ロシア政府が資金提供している遺伝子研究プログラムのリーダーだ。このプログラムはプーチン氏が個人的に監督しているという。

米政府高官の1人は「プーチン氏と多くの取り巻き、新興財閥(オリガルヒ)らが、家族名義で自分たちの財産を米国の金融システムに置く形で資産の隠匿を図っていると信じるに足りる理由がある。われわれは、プーチン氏の財産の大部分が家族を利用して隠されていると信じており、だからこそ家族を制裁の標的にしている」と語った。
ロイターはカテリーナ氏とマリア氏、およびその代理人、ロシア政府にコメントを要請したが、回答を得られなかった。
今回の制裁は、バイデン大統領がウクライナにおけるロシアの「さまざまな残虐行為」を非難したことに基づき発動された。ロシアのラブロフ外相の妻と娘も対象に加えたほか、米国人の対ロシア投資を禁止し、ロシア最大の銀行ズベルバンクなどの資産を凍結した。
プーチン氏の個人資産がどの程度あるのかは、ロシア国内では気軽には持ち出せない話題だ。ロシア政府は昨年、反政府活動家ナワリヌイ氏の調査チームが動画で黒海の高級リゾート地にある超豪邸はプーチン氏の所有だと告発したことについて、事実ではないと否定。ペスコフ大統領報道官は今年2月、プーチン氏個人を対象にした各種制裁は的外れで、「幾つかの資産についてばかげた主張が制裁理由となっている。プーチン氏は自ら宣言した以外には何の資産も持っていない」と述べた。
しかし、米議会は別の見方をしている。与党・民主党のホワイトハウス上院議員は数週間前、「プーチン氏とオリガルヒは、豪邸や大型ヨット、美術品をはじめとする高額資産の購入を通じ、不純な手段で獲得したお金を法の支配が行き届いている国に持ち込んでいる」と強調しつつ、制裁対象となっているオリガルヒの資産差し押さえにつながる情報提供に懸賞金を付ける法案を提出した。
Powered by リゾーム?