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⽇本と同様にマスク不⾜に苦しむ⾹港。⾹港政府のマスクを巡る政策が機能しない中で、企業や⼤学、市⺠が⾃発的にマスクなどの生産と配布を行うようになっている。マスクを巡る動きからは、香港社会の現状が浮き彫りになる。

 香港は新型コロナウイルスの流行に伴って、マスクの着用が広く呼びかけられている地域の1つだ。香港政府はマスクの市場流通に対し介入を行わず、台湾やマカオのような積極的なマスクの購入制限・配分を行わなかった。この結果、マスクの供給は不足し値段は大きく高騰した。

 マスクの価格が高騰した香港には世界中からマスクが流入することになった。ところが、その中には多くの質の低いマスクが含まれていた。香港税関は3月13日、検査した24のマスクのうち4つのマスクの細菌量が基準値を超えていたと発表した。4つのマスクのうち産地が分かっているものはネパールとトルコで製造されたもので、このことからも香港が世界からマスクを輸入していたことが分かるだろう。

マスクを買うためにオンラインでの予約を求める店舗もあった(撮影:Kaoru Ng)

香港で起きたマスク不足

 感染拡大を抑制するためには、マスクを必要な人に適切に行き渡らせる必要がある。だが、香港政府の政策が十分に機能したとは言い難い。

 最たるものは、医療従事者向けにマスクを提供していなかったことだ。香港の公立病院を運営している医院管理局は政府組織ではなく、そこで働く医療従事者も公務員ではない。公務員であり公衆衛生管理を担う衛生署には多くのマスクが政府から支給されたのにもかかわらず、最前線で活動する医療従事者には支給しないという状況になり、批判の声が上がった。現在香港政府は刑務所にマスクの生産ラインを設置して、700万個のマスクを生産する予定だ。政府はこのマスクは医療従事者に優先的に配布すると強調している。