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 国内の新型コロナウイルスの感染者の増加が止まらない。東京では4月6日、新たに83人の感染が明らかになり、累計は1116人となった。首都圏や大阪などを対象に出される見込みの緊急事態宣言は外出禁止などの強制力を持たないとされているが、企業や消費者の活動が一部制限される「ロックダウン(都市封鎖)」に近い状況も予想される。

 では、都市封鎖は市民生活や経済になにをもたらすのか。既に厳しい措置が取られている海外の事例からは、先が見えない厳しい側面も浮かび上がる。

イタリアでは犬の散歩も自宅周辺だけ

イタリア・ミラノの街は今も閑散としている(写真:Pietro D'Aprano / Getty Images)

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大で1万5000人以上の死者が出ているイタリア。北部諸州に続き全土が3月10日に封鎖されてから約1カ月が経過した。4月8日に中国・武漢市で都市封鎖が解除されれば、世界で最も長く封鎖や外出禁止令が続いていることになる。ミラノの大聖堂やローマのコロッセオなど、世界的に著名な観光地には人影がない。

 「従来は認められていた犬の散歩による外出も自宅周辺に限定され、今はとても外出できる雰囲気ではない。新型コロナによる肺炎以外の病気になっても十分な治療が受けられるかどうか不安があり、緊張した日々を送っている」。現地在住の日本人はこう話す。外出禁止が長くなり、住民たちには疲れが見え始めている。

 都市封鎖当初は理由があれば通勤なども認められていたため、ミラノのオフィスに出勤する人も多く、観光客も少なからずいた。しかし、感染者と死亡者の増加に歯止めがかからないことから、イタリア政府が追加で厳しい外出禁止令を出し、外出許可証の携帯が必須となった。

 外出禁止などに違反した場合の罰金は当初は206ユーロ(約2万5000円)だったが、今は最大3000ユーロ(約36万円)に引き上げられている。外出する住民や観光客が激減したため、都市部の大気汚染が改善したほか、ベネチアの運河の水質がきれいになったほどだ。

 経済活動への影響も深刻だ。従業員の外出禁止や部品の調達難などで多くの製造業が生産を停止している。欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は11日から国内の6つの完成車工場を休止。イタリア政府が23日から生活必需品以外の生産を禁じたため、操業再開のメドは立っていない。